「失踪者」(シャルロッテ・リンク 著/浅井晶子 訳)の上巻を読みました。
リンクの作品は、以前「沈黙の果て」を読んだことがあります。
とても読みやすかったし、ストーリーにも入り込めたので、他の作品も読んでみることにしました。
昨年、「誘拐犯」(上・下)が発売されたこともあって。
主人公は、元雑誌記者のロザンナ。ロンドンで仕事をしていたが、結婚を機にジブラルタルに移住。夫の連れ子とも一緒に暮らしている。
そんなロザンナに雑誌の編集長から仕事の依頼が。“失踪事件”を調べるというものだった。ロザンナが指名されたのは、ロザンナの結婚式に出席する旅の途中で失踪した幼馴染みのエレインが含まれていたからだった。
ロザンナはロンドンで、エレインの失踪に関与していると疑われた弁護士、マークと共に、エレインの行方を探し始める・・・
登場人物が多いが、皆が的確に描かれており、生き生きしている。
上巻で気になった人物は、被害者の姉、アンジェラだ。妹を殺され、ショックを受けているが、聡明で生きる力にあふれている。きっと立ち直る。
スコットランド・ヤードの警部フィールダーがアンジェラにかける言葉が温かい。
「存分に悲しみなさい、アンジェラさん。月並みに聞こえるでしょうが、心の痛みを充分に感じてください。お母さんのように何かで麻痺させたりせず、お父さんのように痛みを感じない場所に逃げ込んだりせず。このとてつもない苦しみに、しっかり向き合ってください。そうして初めて・・・
(中略)
いつかまた生きることができるようになるんです。そして、人生で何ごとか成し遂げられるように。妹さんもきっとそれを望んでいたはずです」
(「失踪者」(下)より)
これは下巻の引用なんだけど・・・
上巻でかなり疑わしい人物が登場し、ほぼ事件の目星は付くのだが、下巻でどんでん返しの予感・・・
下巻に続く・・・