昨日は通院の帰りに、新しいリュックとスニーカーを買いに行きました。
今年からウォーキングイベント参加を再開しようと思っているからです。
2019年以来なので、丸3年参加できなかったことになる・・・長かったなあ~~
只今コースを検討中。楽しみです!
「秘密」(上)(ケイト・モートン 著/青木純子 訳)を読みました。
前作「忘れられた花園」と最初に読んだ「湖畔荘」との間に出された作品になる。
舞台は、イギリスのロンドンとサフォーク州。
邦題は「秘密」ですが、原題は“The Secret Keeper”なんですね~イミシン。
訳者の青木さんは解説で
初め訳者はこれを「秘密の番人」の意味にとり、つまりローレルその人を指すのだろうくらいに考えていた。しかしキーパーには密閉容器の意味もある。
(「秘密」(下)解説より)
と言っておられる。
いろいろと想像が広がるシンプルなタイトルだ。
目次を見ると、登場人物名が章題になっているようだ。
第Ⅰ部 ローレル
第Ⅱ部 ドリー
第Ⅲ部 ヴィヴィアン
第Ⅳ部 ドロシー
(第Ⅱ部途中から下巻)
1961年のイギリス サフォーク州。16歳の娘ローレルは庭のツリーハウスから、母親のドロシーが見知らぬ男をナイフで殺害するところを目撃する。ショックで失神したローレルだったが、近くのキャンプ場で強盗が発生していたこともあり、殺された男はその犯人とされ、母も正当防衛と認められた。
しかし、ローレルには警察や両親にも話していないことがあった。
殺された男は母に、「やあ、ドロシー、久しぶりだね」と声を掛けていた。母と男は顔見知りだったのだ。
しかし、ローレルは誰にも話さず、秘密を守った。
50年後、オスカー女優となったローレルは、老いた母を病院に見舞う。
50年前死んだ男は誰だったのか。母とはどんな関係だったのかー
上巻では、ローレルとその母ドロシー(ドリー)の物語が平行して描かれる。下巻では、それにドリーの友人だったヴィヴィアンの物語が加わるようだ。
重層構造はモートン作品の特徴で、3作目にもなるとだいぶ慣れてきた。
誰しも人の全てを知ることはできない。親子や夫婦と言えども、知っているのはその一部分、一面だけだ。
自分の知っている母親にも、夫にも、子どもにも、予想もしない一面があるかもしれない。きっとあるだろう。
そう思うと、ちょっと怖くなる。
今作の背景にも、戦争がある。
ドリーの恋人でジミーという写真家が登場するのだが、戦地の写真を撮って帰国してくる。その写真の描写を読むと、戦争は今も昔も変わらないと思う。
焼け残った家財を手押し車に積んで引くイーストエンドの家族。四方の壁が崩れ落ち、いきなり人目にさらされることになった室内で、物干しロープに洗濯物を干しているエプロン姿の女性。アンダーソン式防空シェルターのなかで、就寝前の子供六人に本を読んであげている母親。片足が吹き飛んだパンダのぬいぐるみ。毛布で肩をくるんで椅子にすわる女と、その背後で炎をあげている彼女の家。瓦礫のなかで飼い犬を探す老人。
(「秘密」(上)“第Ⅱ部 ドリー”より)
この1年、こんな映像を何度目にしただろう。
戦争はつらい。いいことは何にもない。
ローレルは母の過去には何が隠されているのかー下巻に続く・・・