もりっちゃんのゆるブログ

楽しく、でも真面目に。 そんなブログを書いています。

「アンナ・カレーニナ1」を読みました

地域の夏祭り、今年は開催が告知されました。

模擬店も出店されるようです。

関係者のかたがたのご苦労と苦悩を思うと、

なんとも言えない気持ちです。

 

アンナ・カレーニナ 1 (光文社古典新訳文庫)

アンナ・カレーニナ1」

レフ・ニコラエヴィチ・トルストイ 著/望月哲男 訳)

を読みました。

この作品を読もうと思ったのは、

平野啓一郎氏の「ある男」に、登場人物のセリフが引用されて

いたからです。

主人公が自分の思いをそのセリフにたとえていたのですが、

何度そのセリフを読み直しても、主人公の思いがよく

わからなかったのでした。

私がロシア文学に明るくないことがその原因かもと思ったのと、

人間の心の底の複雑な思いを描いているような気がして、

ちょっと長丁場になるけれど読むことにしました。

図書館にある光文社古典新訳文庫版にしました。

字が大きく読みやすい新訳なのを期待して。

 

アンナ・カレーニナ」の筋は大体知っていました。

映画や宝塚歌劇の舞台にも何度かなっているので。

だからストーリー展開に驚くことはありませんが、

引き込まれる強い力を感じる作品でした。

 

冒頭から、非常にキャッチー。

幸せな家族はどれもみな同じようにみえるが、

不幸な家族にはそれぞれの不幸の形がある。

(「アンナ・カレーニナ1」第1部1章より)

たぶん、この一文がトルストイの描きたかったこと

なんじゃないかと予想してしまうくらいのインパクトだ。

 

時代と舞台は、1870年代のロシア。

前回記事にした女帝エカチェリーナ2世のひ孫に

あたるアレクサンドル2世の治世になる。

タイトルのアンナ・カレーニナがこの物語の

主人公。

アンナの夫 カレーニンは、ロシアの都ペテルブルクで

官僚をつとめ、まだ幼い息子が一人。

モスクワに住む兄夫婦(オブロンスキーとドリー)の

間に揉め事が起こり、アンナが仲裁のため兄の家に

やってくる。

そのモスクワで、アンナはヴロンスキー伯爵と出会い、

二人は泥沼の恋にはまってしまうのだった・・・

 

多くの登場人物があり、そのひとりひとりの内面を

ストレートに描いているので、読んでいて演劇を観ている

ような感覚になる。

この第1巻で印象に残ったのは、

兄夫婦の揉め事をおさめ、ペテルブルクへの帰途の汽車で

アンナとヴロンスキーが再会する場面。

外は吹雪。途中停車した駅で、アンナは外の冷たい空気に

触れたくてホームに降りる。

猛烈な吹雪が襲い掛かってきて、汽車の車輪の間を

びゅうびゅうと吹き抜け、駅舎の隅に立っている

何本かの柱を巻くようにして去ってゆく。

貨車も柱も人間も、見える限りのものはすべて

片側だけに雪が積もり、しかもその雪が見る見る

かさんでいった。一瞬吹雪が止むことがあっても、

すぐにまた彼女の力ではまるで太刀打ちできぬ

ような突風が襲ってくるのだった。

(「アンナ・カレーニナ1」第1部30章より)

この描写があって、このあとのアンナとヴロンスキーの

心の炎が際立つのだ。

 

もう一組のカップル、地主貴族のリョーヴィンと

アンナの義妹にあたるキティの話は次巻に回そう。

私はこのリョーヴィンという青年にとても惹かれる

のだが、長くなってしまうので・・・