もりっちゃんのゆるブログ

楽しく、でも真面目に。 そんなブログを書いています。

「失踪者」(下)を読みました

諸事情によりまとめての更新になりました。<(_ _)>

季節外れの暖かさと言われていますが、喜んでばかりもいられません。もはや異常ではなく、温暖化は常態化しているのでしょう。

春の訪れは早く、かつ短いのかしら。

 

失踪者 下 (創元推理文庫)

「失踪者」(シャルロッテ・リンク 著/浅井晶子 訳)の下巻を読みました。

上巻の記事はこちら。 ↓

 

moricchan24.hatenablog.com

 

五年前に失踪したエレイン生存情報に、ロザンナは急遽現地に駆けつけたが、エレインのパスポートを持つその女性は、全くの別人だった。どうやって彼女はパスポートを手に入れたのか? エレイン失踪で疑われ、人生を狂わされた弁護士にロザンナは惹かれ始め、彼の無実を証明することに熱中する。真実はどこにあるのか?

(「失踪者」(下)紹介文より)

 

ロザンナが結婚後5年も経って、なぜ失踪したエレインにこだわるのか、なんとなく想像はしたけれど、ロザンナ自身の言葉で明らかにされる場面があった。

「エレインに招待状を送ったとき、自分がすごく寛大な人間になったような気がした。かわいそうなエレインって! エレインが来たからって、結婚式が華やかになるわけじゃない。でも私は心が広いから、それでも彼女を招待してあげるんだって。でも実を言えばね、私がどれだけのものを手に入れたか、エレインに見せつけたかったのよ。仕事で成功している素敵な夫、かわいらしい義理の息子、太陽の光に溢れた暖かいジブラルタルにある素晴らしい家。盛大な結婚式。そんなものを目にしたらエレインが苦しむだろうことは、はっきりわかってた。それにエレインがパーティーでまた壁の花になるだろうことも。でも、エレインの惨めさが、私をもっと華やかに見せてくれるような気がしたの。その機会を逃したくなかったのよ」

(「失踪者」(下)より)

こんな心理は、特に若い頃はよくみられることだと思う。無意識だとしても。でも、結果ロザンナはとてつもない罪悪感を抱えることになったのだった。

真実は往々にして残酷だ。

 

ストーリー自体は大どんでん返しというほどではない。“最後の最後にあなたを待つのは、震えるほどの衝撃だ”なんて煽られたが、それほどの衝撃はなかったよ(笑)

私が印象的だったのは、脇役といえる登場人物たち。

ロザンナの兄、セドリック。数奇な運命に巻き込まれたパメラ。そして、エレインの兄、ジェフリー。

エレインの事件は悲劇だったけれど、真相が明らかになることによって、せめて周りの人だけは前向きに人生を歩んでほしいなと思った。