もりっちゃんのゆるブログ

楽しく、でも真面目に。 そんなブログを書いています。

「幻の女」を読みました

昨日から一気に涼しくなり、今朝も寒かった~

明日はまた雨らしい・・・

2日分の洗濯物を干していますが、乾くかな~👔

 

幻の女〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

「幻の女」(ウイリアムアイリッシュ 著/黒原敏行 訳)を

読みました。

購入してからしばらく積んでいましたが、

満を持して挑戦です(^^)/

 

私の買った文庫本に付いていた帯には、

スリードに気をつけろ!

死刑が迫った男の冤罪を証明する女を追え!

色あせない大ドンデン返し

がここにある・・・。

とある。

ドンデン返しがあることを覚悟し、

細部まで読み逃しのないように、

気合を入れて(笑)読み進めました。

 

妻と言い争いをして家を出たスコットは、

その夜 妻と行く予定だったレストランとショーに、

偶然出会った見ず知らずの女と出かける。

女と別れ、家に戻ったスコットを待っていたのは、

妻の死体と刑事だった。

スコットのアリバイを証明する見ず知らずの女を

探すために、

女と出会ったバー、その後訪れたレストラン、タクシー、

劇場で目撃者に話を聞く。目撃者はことごとく

“スコットは一人だった。女はいなかった”と証言する。

スコットは有罪となり、死刑判決を受ける。

女は幻だったのか・・・

 

死刑執行日までのカウントダウン形式の章立てで、

1章は「死刑執行日の百五十日前」、

6章は「死刑執行日の九十日前」、

20章が「死刑執行日の三日前」とだんだん運命の日が迫って来る。

サスペンス要素の強い構成になっている。

 

時代を感じる場面も多かった。

アメリカでの刊行は1942年。第二次大戦勃発前の

不穏でやや頽廃的な人々の様子がうかがえる。

(日本での刊行ーポケミス初版は1955年)

 

肝心のドンデン返しだが、

(大丈夫。ネタバレは気をつけます)

私はとても整ったきれいなドンデン返しだと思う。

意外性は少ないかもしれないが、無理がない。

作者の叙情性にあふれた文体にも合っている。

(もちろん原書で読んだわけではないが、

その文体を十分に踏まえた訳になっていると思う)

 

シビれる書き出しはやはり引用しておこう。

夜は若く、彼も若かったが、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった。

(「幻の女」より)

原文はこうだ。↓

The night was young,and so was he. but the night was sweet,and he was sour.

これはもうほとんどポエムだ。一気に引き込まれる。

 

解説を書かれた池上冬樹氏は、

ともかく、本書『幻の女』は古典中の古典であり、

読んでいて当たり前の、もはや一般常識に

なっている。未読の方はぜひ読まれよ!

という文で締めくくっている。

多少大げさかもしれないが、私もおすすめする。

 

ここのところ、海外のミステリーを続けて読んでいるが、

ずいぶん読みやすくなったなと思っている。

新しい本はもちろん、古い本も新訳版になって読みやすくなった。

翻訳調に抵抗がある人も無理なく読めるのでは。

私もいろいろ挑戦していきたいと思う。