もりっちゃんのゆるブログ

楽しく、でも真面目に。 そんなブログを書いています。

「この本が、この世界に存在することに」を読みました

 いいお天気だが、暑い! 🌞

洗濯機を2回まわし、布団も干した。

奄美地方が梅雨明け。いよいよ夏本番だね~

 

この本が、世界に存在することに (ダ・ヴィンチ・ブックス)

「この本が、世界に存在することに」(角田光代 著)を読みました。

「ふつうの人々の“本をめぐる物語”」と帯にあるが、

主人公たちは特に本が好きだとか、読書にハマっているとか

そんな特別な人たちではない。

ふつうの人たちのかたわらにある、何気ない1冊の本と

彼ら彼女らの日々の悲喜こもごもが描かれている。

 

この短編集の中の「旅する本」が

 ↓ 下の「NHK国際放送が選んだ日本の名作 1日10分のごほうび」

に載っている。

1日10分のごほうび NHK国際放送が選んだ日本の名作 (双葉文庫)

これは、 

 ↓ 下の「NHK国際放送が選んだ日本の名作 1日10分のしあわせ」

の姉妹編。

NHK国際放送が選んだ日本の名作 (双葉文庫)

 

「旅する本」は、大学生になり一人暮らしをしていた主人公が、

お金を捻出するために手持ちの本を売るところから始まる。

古本屋の主人に「これ本当に売っていいの?」と言われた、そう内容も

覚えていないような翻訳小説。

とまどいながらそのまま売ってしまう主人公。

やがてすっかりその本のことを忘れてしまった主人公が

卒業旅行でネパールに行く。

ネパールのポカラという町の、暇つぶしに入った古本屋で、

主人公はあのとき売った翻訳小説を見つける・・・・

裏表紙に自分のサインとイラストがある。

この本は私を追いかけてきたのか・・・?

 

こんな感じ。

一番心に残ったのは、「さがしもの」という一編。

中学2年の主人公が、病気で入院している祖母に「本をさがしてほしい」

と頼まれる。

祖母はもう長くないので、主人公は近所の本屋から大型書店まで探し回るが、

全く見つからない。

今のようにネット検索がないので、本を探すには店員の記憶を手掛かりに

するしかない。

都会の本屋、隣町の本屋とたずね歩くうちに、その本は絶版になっている

ことがわかった。

とうとう本を手にすることもなく、祖母は亡くなってしまう。

祖母が亡くなってからも本を探し続ける主人公。

その本は祖母にとってどんな存在だったのか。

 

主人公の「その後」がいい。

 

角田さんの本はいろいろ読んだが、割と初期の作品を読んでいない。

対岸の彼女」や「空中庭園」、「キッドナップ・ツアー」なんかを

読んでみたいと思います。