もりっちゃんのゆるブログ

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「護られなかった者たちへ」を読みました

「古代メキシコ」の記事のアップの途中ですが、読書の記事を挟みます。

 

護られなかった者たちへ

「護られなかった者たちへ」(中山七里 著)を読みました。

中山七里氏の作品はいろいろ読みましたが、これは社会派の骨太な作品でした。

 

仙台市の福祉保健事務所課長・三雲忠勝が、手足や口の自由を奪われた状態の餓死死体で発見された。三雲は公私ともに人格者として知られ怨恨が理由とは考えにくい。一方、物盗りによる犯行の可能性も低く、捜査は暗礁に乗り上げる。

(「護られなかった者たちへ」作品紹介より)

殺された三雲は生活保護申請窓口の業務に携わっていた。捜査をする刑事たちは、被害者の仕事の細部を知ることから始めるが、やがて日本のセーフティネットの呼ばれる生活保護制度について、考えさせられることになる。

刑事の笘篠には、妻子を東日本大震災津波で失った過去があり、「護らなければならないのに護れなかった」という悔恨にさいなまれている。

 

少し希望の持てるラストだったことが救いだったが、問題の根本解決には至らない。読者に託された作者からの宿題なのだろう。