風邪で臥せっている間も、少しは読書をしていました。
順番は違いますが、その記事を追い追い挙げていきます。
「我らが少女A」(髙村薫 著)を読みました。
我が家で購読している新聞の連載小説でしたが、読むのを忘れてしまったりして最後まで読めませんでした。今回、図書館で見つけて読むことにしました。
髙村作品の合田雄一郎シリーズの最新作になるのかな。57歳になった合田刑事は現場を離れて、多摩にある警察大学校の教授になっている。その姿はあまり想像できなくて、ある意味新鮮だった。
出版社の紹介文を引用する。
一人の少女がいたー
合田、痛恨の未解決事件。
12年前、クリスマスの早朝。
東京郊外の野川公園で写生中の元中学美術教師が殺害された。
犯人はいまだ逮捕されず、当時の捜査責任者合田の胸に、後悔と未練がくすぶり続ける。
「俺は一体どこで、何を見落としたのか」
そこへ、思いも寄らない新証言がー
動き出す時間が世界の姿を変えていく。
人々の記憶の片々が織りなす物語の結晶。
(毎日新聞出版サイトより)
この物語に、合田刑事(刑事ではないが)の占める割合は少ない。過去の事件との向き合い方も、離れた次元で遠くから見つめるふうで、合田刑事も年相応に老いたということかもしれない。
一方、物語で強烈な印象を残すのが、過去に起きた“野川事件”の当時、高校生だった、
小野雄太、栂野真弓、浅井忍、そして“我らが少女A”上田朱美の4人だ。
2005年に起きた事件。このころの若者が何に夢中になっていたか、何が流行っていたか、そうかそんな時代だったと思い出したりした。
読み終えて一番感じたのは、誰もがギリギリのところで生きているということだ。
足を踏み出せば、すぐそこに大きな崖があり落ちそうになる。そんな状況が結構誰にもあるのだと思った。
最後の方で、栂野真弓の母、栂野雪子と、上田朱美の母、上田亜沙子が病院でクリスマスランチ&ティーをする場面には泣けた。
崖から落ちそうになったとき、そばに誰かがいれば支えにはなる。
自分もそんな支えになれる人でありたいと思った。