もりっちゃんのゆるブログ

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「クリスマスに少女は還る」を読みました

クリスマスに少女は還る (創元推理文庫)

「クリスマスに少女は還る」(キャロル・オコンネル 著/

務台夏子(むたいなつこ) 訳)を読みました。

623ページの大作。創元推理文庫でこのページ数は

なかなか大変でした。

 

クリスマスも近いある日、二人の少女が町から姿を消した。

州副知事の娘と、その親友でホラーマニアの問題児だ。

誘拐か? 刑事ルージュにとって、これは悪夢の

再開だった。十五年前のこの季節に誘拐され殺された

もう一人の少女ー双子の妹。だが、あのときの犯人は

いまも刑務所の中だ。

(「クリスマスに少女は還る」作品紹介より)

始まり方はミステリーっぽく、

地元警察、州警察、FBIと警察関係者間の対立も描かれ、

警察小説にも思える。

誘拐された少女たちの手がかりを求めて奔走する

刑事ルージュや、法心理学者のアリの物語と、

誘拐された当事者、グウェンとサディーが

犯人の拘束から逃れようと脱出を試みる物語が

並行して描かれる。

 

今までの犯人のパターンから、2人の少女が誘拐された場合、

片方が囮(おとり)の子(原題『JUDAS CHILD』)で、

その囮の子のほうはすぐ殺されてしまい、もう一人の子は

クリスマスの朝に遺体で見つかることが予想されている。

クリスマスまでに犯人を見つけ、少女たちを救うことが

できるか。ハラハラドキドキの展開が最後まで続くのだ。

その結末は読んでのお楽しみだが、

同時に意外などんでん返しが用意されている。

 

それは驚きだった。そんなことがあるのか。本当に。

それは誰にもわからない。

信じる力が強い人間には奇蹟が起こるのかもしれない。

妹を殺されたルージュも、顔に傷を持つアリも、

登場人物たちはどこかしら毀れている。

傷ついた部分を癒し、心を救うことは容易ではないが、

少女たちはそれを示して見せたのだ。見事に。

 

ストーリーに関してはこんな感じだが、

登場人物としてはやっぱりルージュがかっこいい。

私もルージュのようなハンサムにバラの花束をもらってみたい

(妄想)。

作者のオコンネルは美術を学び、絵を描いて生計を立てていた

こともあり、小説の色彩が豊かに感じる。

 

オコンネル作品は、「愛おしい骨」が手持ちにあるので

そのうち読もうと思っている。