もりっちゃんのゆるブログ

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「蜜蜂と遠雷」を読みました

今日は冷たい風の吹く寒い日になりました。⛄

冬本番、あったかーい甘酒なんかいいですね(^^♪

 

蜜蜂と遠雷」(恩田陸 著)を読みました。

 

2017年の直木賞本屋大賞を受賞した作品。2019年には映画化もされました。

ずいぶん長期間予約が多くて読むのをあきらめていましたが、ひょっこり図書館の棚で見つけて借りてきました。

 

いつも前もって情報を入れずに読むので、「音楽を小説で表現するのは難しいだろうなあ」くらいに思って読み始めた。

全く間違っていた。逆だった。この小説自体がひとつの音楽だった。

リズムが、強弱が、抑揚が、読んでいて感じられる。そんな小説は初めてだった。

 

音楽をテーマにした小説で心に残っているのは「革命前夜」。

moricchan24.hatenablog.com

 

蜜蜂と遠雷」は約2週間にわたる国際ピアノコンクールを舞台にしている。コンクールの出場者(コンテスタント)を中心に据え、彼らを支える人々ーコンクールの審査員、ステージマネージャー、ピアノの調律師、コンテスタントの家族、友人、ピアノ教師、音大の生徒、観客まで入れれば、数えきれない人々が登場する。

養蜂家の父とともに各地を転々とし自宅にピアノを持たない少年・風間塵16歳。かつて天才少女として国内外のジュニアコンクールを制覇しCDデビューもしながら13歳のときの母の突然の死去以来、長らくピアノは弾けなかった栄伝亜夜20歳。音大出身だが今は楽器店勤務のサラリーマンで妻子もおりコンクール年齢制限ギリギリの高島明石28歳。完璧な演奏技術と音楽性で優勝候補と目される名門ジュリアード音楽院マサル・C・レヴィ・アナトール19歳。

幻冬舎ホームページより)

中心になるコンテスタントは上記の4人だ。それぞれに個性豊かで、音楽やピアノに対する熱い想いをもっている。音楽ではなくても、若き日熱い想いを持っていた自分を思い出したりした。

この作品には数々のクラシックの名曲が登場するが、その音楽を耳から得た“音”だけではない、響き、震え、衝撃のようなもので表していると思った。

ゲーム機のコントローラーが、ゲームの衝撃音に合わせて「ゴッ、ゴッ、ゴッ、ゴー」と震えるのに、感じが似ている。五感を超えたものというか。

うまく言葉では表せないが、感動は言語を超えたものなんだろうと思う。

 

2021年ショパン国際ピアノコンクールで第2位に入賞した反田恭平さんのドキュメンタリーをテレビで見たことがある。「考えられるできる限りのことをして、それでも2位だった」とおっしゃっていた。想像を超える世界なんだろう。

 

コンテスタントの他にも魅力的な人物がいて、私は栄伝亜夜の友人、浜崎奏(かなで)がいいなあと思った。自分ならこんな立ち位置でいたいなと思う。

 

蜜蜂の羽音も、遠雷も、静かに耳を澄まさないと聞こえない。そんな自然の音に囲まれて私たちの生は成り立っていることを、この本は教えてくれたように思う。

  (無料イラストより)