「卒業生には向かない真実」(ホリー・ジャクソン 著/服部京子 訳)を読みました。
昨年読んだ「自由研究には向かない殺人」、「優等生は探偵に向かない」に続くピップ&ラヴィのシリーズ、完結編です。
過去記事はこちら。 ↓
1作目「自由研究には向かない殺人」は軽快なタッチの青春小説風で、重いテーマでも深刻になりすぎず楽しめたところがあったが、2作目ではかなりハードになり、最後もちょっとモヤモヤした感じだった。
3作目ではそのあたりを回収して、このシリーズを終わらせるのだろうと思っていたが・・・
ピップは高校を卒業し、ケンブリッジへの大学入学が間近。それなのに心は晴れない。
前の事件がらみで訴えられ、和解交渉を抱えていたり、無言電話や匿名メール、ハトの死骸や落書きなどストーカー被害に遭っている。
ただでさえ、前の事件でのPTSD症状に苦しんでいるピップ。
自分に向けられた敵意に自ら立ち向かおうとするが・・・
1作目からは想像できないダークさだ。私はハードボイルドが苦手だが、YA(ヤングアダルト)版ハードボイルドって感じ。
ピップが自分の意志で行った選択、普通は納得できない。
そりゃそうでしょ。
解説にも、
本作におけるピップの行為に関しては賛否あるかもしれないものの、作者はあえて主人公にその役目を負わせたのである。
(「卒業生には向かない真実」解説より)
とあった。
ラヴィも初めはもちろん反対した。
周りの友人たちも事情を知ろうとピップに迫った。
でも最終的には彼らはピップに協力したのだ。そうやって皆“闇の世界”に入っていった。
うまく言えないけれど、goodな世界で死んでいるよりも、闇の世界で苦しみながら生きる方を選んだ・・・のかな。
現代を映した小説かもしれない。現実は甘くはないのだと。
弱くてもいいのだと、言ってあげられる世の中でありたい。
私は「そんな世の中じゃなくてごめん」と言って、ピップを抱きしめてあげたい気分だった。甘ちゃんだけど。
そろそろ“人が死ぬ”小説から離れたいが、あと1冊予約が回ってきた本があるので、それは最後まで読むつもり。