もりっちゃんのゆるブログ

楽しく、でも真面目に。 そんなブログを書いています。

「身体巡礼」を読みました

5月も明日で終わり。

あさって6月1日から全国的に休業要請が解除されそうです。

まだまだ感染は続いていますが、これ以上人の行き来や

経済活動を止めるのは限界だということなのでしょう。

コロナ後の世界という視点での報道や考察も増えていますが、

今の時点で予想できることはそれこそ限られていると思います。

わからないことは決めつけず、楽観も悲観もせず、

たんたんと一日を過ごすスタンスでいたいと思う。

が、難しいですね~ 感情が爆発する! 

したいことがいっぱいある!

 

身体巡礼: ドイツ・オーストリア・チェコ編 (新潮文庫)

「身体巡礼 ドイツ・オーストリアチェコ編」(養老孟司 著)

を読みました。

去年、本屋さん(ジュンク堂書店大阪本店)で見つけたのが下の↓

「骸骨巡礼 イタリア・ポルトガル・フランス編」。

骸骨巡礼―イタリア・ポルトガル・フランス編―(新潮文庫)

養老先生の背後にあるのは、ポルトガル南部カンポ・マヨールの

納骨堂。本物の骸骨です。

骸骨ー怖い気持ちもあるけれど、気持ち悪いとは思わない。

でも気分が良くないかたもおられるでしょう。

そんなかたはこの記事は読み飛ばしてください。

書き方にはじゅうぶん配慮をするつもりですが、不愉快になる

場合もあるかもしれないので。

 

民俗学文化人類学などの分野に関心があるので、

人の埋葬にも興味と関心がありました。

それで手に取った「骸骨巡礼」でしたが、購入後に前作として

「身体巡礼」が出ていることがわかり、そちらを先に読むことに

しました。

それでも実際読んだのは一年後になってしまったのですけどね(^^ゞ

 

「身体巡礼」のほうの表紙は、ちょっと苦手。

ウィーンにある国立病理解剖学博物館の蝋細工模型です。

口絵には取材旅行で撮られた写真が何枚も紹介されており、

おそるおそる見ながら読み進めました。

 

養老孟司氏は解剖学者。

今は愛猫まるやご自身が採集された虫たちと鎌倉で暮らす

様子をノーナレで撮った「ネコメンタリー」でも有名。

現在の日本では人が亡くなると火葬にすることが多い。

私の子どもの頃、記憶は怪しいが、まだ土葬は行われていた。

親戚の葬儀に参列し、山のお墓までお見送りした覚えがある。

火葬が増えたのは、衛生的な問題や、土地が狭く埋葬する場所が

少なくなったからか、と勝手に考えていた。

本書を読んで、どうもそうではないようだとわかった。

埋葬は、生者が死者をどう捉えているかに関わっているのだ。

 

一番度肝を抜かれたのは、ハプスブルク家の心臓信仰だ。

ハプスブルク家の一員が亡くなると、心臓を特別に取り出して、

銀の心臓容れに納め、ウィーンのアウグスティーン教会の

ロレット礼拝堂に納める。

肺、肝臓、胃腸など心臓以外の臓器は銅の容器に容れ、

シュテファン大聖堂の地下に置く。

残りの遺体は青銅や鈴の棺に容れ、フランシスコ派の一つ、

カプチン教会の地下にある皇帝廟に置く。

つまり遺体は三箇所に埋葬される。

  (「身体巡礼」(養老孟司 著)より)

 2011年7月に最後のハプスブルク家皇太子オットー・ハプスブルク

亡くなり、この伝統に従って埋葬された。

たった10年ほど前の話だ。

養老先生も現役の解剖医時代から、この心臓を特別に扱う埋葬に

興味を持っておられ、引退後はそれについて調べることに

されたのだ。

実際に中欧の教会にある墓所や墓地を訪れた。

私にはとてもできないことなので、読みながら追体験

させてもらった。

知らないことばかりで(不真面目にとらないでほしいが)

興味深かった。

 

カタコンベというのをご存知ですか?

地下墓所のことですが、この本で私が唯一知っていた言葉ですね(笑)

カタコンベを知ったのは、小学生の頃読んだ漫画です。

わたなべまさこ さんという漫画化の描いたホラー漫画です。

どの漫画にカタコンベが出てきたのかは覚えていません。

「聖ロザリンド」という作品を強烈に覚えています。

いや、もうすごく怖い漫画でした(T_T)

カタコンベからの連想は私はこんなもんです。

なので、養老先生の思索は難しく理解できない部分も多かった

と思います。

ただ、私は私の考え方でいいのかと。

養老先生はわからないものはわからない、と一歩離れて観察する。

その姿は確かに科学者の姿だ思いました。

 

次はもともと読むつもりだった「骸骨巡礼」に

とりかかります(^^)/