もりっちゃんのゆるブログ

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「隻眼の少女」を読みました

隻眼の少女

「隻眼の少女」(麻耶雄嵩(まやゆたか) 著)を読みました。

 

入院にあたり、文庫本を2冊持っていきました。図書館の本は失くしたり汚してはいけないので、手持ちの本から選びました。

そもそも本が読める状況かどうか疑問でしたが、結果的には本があってよかったです。テレビも有料でしたが申し込みましたし、音楽プレーヤー(今はなきiPOD)も持っていきましたが、最終的にはテレビを消音状態にしてチラチラ見ながら本を読むーのが私の終盤の過ごし方になりました。

正味一週間の入院で、この「隻眼の少女」1冊を読み終えました。

 

山深き寒村で、大学生の種田静馬は、少女の首切り事件に巻き込まれる。犯人と疑われた静馬を見事な推理で救ったのは、隻眼の少女探偵・御陵(みささぎ)みかげ。静馬はみかげとともに連続殺人事件を解決するが、18年後に再び惨劇が・・・

(「隻眼の少女」紹介文より)

 

設定は横溝正史の獄門島に似ている(解説でも触れられている)。他の世界から閉鎖された村。古い因習が残る村。村人の尊敬を集める有力者。無残に殺される三つ子の三姉妹。などなど共通点が多い。

(ちなみに私は横溝作品では「獄門島」が一番好きだ。ストーリーもミステリーとしても全てにおいて)

もちろん時代は違う。携帯電話もTVゲームもある。でもなんだろう。たぶん雰囲気というか、空気感というか。中を漂う匂いのようなものが共通しているのだ。

 

叙述トリックではないが、作者は何度もミスリードを仕掛けるので、そのたびにひっかかってしまった。だから、この作品をこれから読む人のために言っておこう。

この作品のタイトルは「隻眼の少女」だ! と。

舞台となっている“栖苅(すがる)村”でもなく、“琴折(ことさき)家の殺人”でもないことを。

 

陰惨なストーリーの中で、ちょっと天然の種田静馬と隻眼の探偵・御陵みかげのかけあいは、楽しく笑える部分であった。