明日は私の誕生日🍰 50代最後の日です。
50代は自分としてはとても充実した良い10年間だったと思います。
細かな不調はありましたが、大きな病気や怪我もなく過ごせました。
でも、家族の状況などまわりのことを考えると、精神的なしんどさは大きかったです。それはほとんどの人にとって同様でしょうし、年齢的なことやキャリアを思えば仕方ないのでしょう。
深く思い詰めず、うまく気分をコントロールすることをこれからは心掛けたいです。
急に蒸し暑くなり、季節的にもしんどくなってきました。💦
熱中症にも注意して夏に立ち向かおう💪 (大げさ( ´∀` )
「野兎を悼む春」(アン・クリーヴス 著/玉木亨 訳)を読みました。
イギリス シェトランド諸島を舞台にしたペレス警部シリーズの第3弾。
(以下は第1弾、第2弾の記事 ↓)
冬から始まり、次は夏。今回は春の物語。
今作はシェトランド本島を離れ、ウォルセイ島が物語の舞台になった。
ペレス警部の部下 サンディ刑事はウォルセイ島に里帰りするが、祖母の家を訪ね、祖母ミマの死体を発見してしまう。サンディのいとこであるロナルドが、ウサギ狩りをしていて誤ってミマを撃ってしまった、というのが当初の見立てだった。それならば不運な事故だ。
ミマの家の小農場では遺跡の発掘調査が行われていて、サンディやロナルドの家族も関わっていた。ミマの死で調査は続行できるのか・・・
サンディがペレス警部に助言を仰ぎながら捜査を始めるが、新たな犠牲者が出る・・・
頼りなかった部下のサンディが、徐々に頼もしくなっていくさまがおもしろい。
それは決して楽しい経験ではなかったが、苦い経験が人を成長させるということなんだろう。
シェトランドの春の特徴は、霧 のようだ。
ペレス警部が船でウォルセイ島に向かうシーン。
自動販売機でコーヒーを買って腰をおろし、汚れたガラス越しに、ウォルセイ島が夜明けと霧雨のなかからあらわれてくるのをながめる。なにもかもが、くすんだ緑と灰色だった。彩りに欠け、輪郭がぼやけている。シェトランドらしい天気だ、とペレスは思った。
(「野兎を悼む春」より)
“シェトランド四重奏”と呼ばれる4部作の邦題は、それぞれの季節を表しているが、原題はそれぞれ色の名が付いている。
「大鴉の啼く冬」は“RAVEN BLACK”。
「白夜に惑う夏」は“WHITE NIGHTS”。
今作「野兎を悼む春」は“RED BONES”、“赤”だった。
これは、発掘現場で出た人間の骨からきている。
物語の終盤、サンディがペレスに話すシーン。
「なんだかもう、わけがわからなくて」サンデイがいった。「ほら、“戸棚のなかの骸骨”って言い回しがあるじゃないですか。家族のいかがわしい過去は、いつまでもつきまとう。あれって、そういう意味ですよね?」
ペレスはうなずいた。
「今回のは、“土のなかの骨”って感じです。古くて、赤い骨。でも、どうしてそれがこんなに月日がたってから問題になるのかが、わからない」
「赤い骨?」ペレスは血に染まった骨を想像した。
「お袋がいうには、長いこと土に埋まっていた骨は、そういう色になるんだとか」
(「野兎を悼む春」より)
サンディが言っている“戸棚のなかの骸骨”は、英語の成句。
“Every family has its skeleton in the cupboard”
どの家庭にも戸棚のなかに骸骨があるーどの家庭にも人には知られたくない秘密があるという意味。cupboard が closetのこともあり。
世の東西を問わず、人には知られたくない秘密を隠すため、もしくは暴露されたために起こる事件を描いたミステリーは多い。
ミステリーあるあるだ。
今回、ペレス警部の恋人 フランは娘を連れて本土に帰っており、登場は少ない。
フランはとても魅力的な女性なので、残念だった。次作は4部作の最後でもあるので、ペレスとの恋の行方も含めて、フランの出番を待ちたいと思う。
次作は「青雷の光る秋」。原題の色は? それはお楽しみということで。