もりっちゃんのゆるブログ

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「ストーンサークルの殺人」を読みました

朝は晴れていましたが、何やら冷たい風が吹き曇ってきました。

怪しい・・・雨かも。

 

昨日は阪神電車の平日ウォークに参加してきました。神戸市の灘区を南から北へ。そして南へ戻ってくるコース。前半は上り坂、後半は下り坂。10㎞でしたが、アップダウンが堪えました・・・

報告は近いうちに。

 

ストーンサークルの殺人 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

ストーンサークルの殺人」(M・W・クレイヴン 著/東野さやか 訳)を読みました。

おもしろかったです。ジャンルとしては警察小説のバディものと言えますが、私は他の面でも楽しみました。

 

英国カンブリア州に点在するストーンサークルで次々と焼死体が発見された。犯人は死体を損壊しており、、三番目の被害者にはなぜか停職中の国家犯罪対策庁の警官ワシントン・ポーの名前と「5」と思しき字が刻みつけられていた。身に覚えのないポーは処分を解かれ、捜査に加わることに。

(表紙紹介文より)

 

恐竜や化石に興味があるかたなら、カンブリア紀という地質時代をご存じだろう。この時代(約5億年前)の地層が見つかった地名に由来するそうだ。

カンブリア州はイギリス・グレートブリテン島の真ん中あたりに位置し、多くのストーンサークルがある。

遺跡好きの私としては、非常に心惹かれるところだ。

今までは、サフォーク州、ハンプシャー州、デヴォン州など南部の州が舞台の物語が多かったので、気候や土地の特性が全く違う地方の物語は新鮮だった。

 

連続殺人、それもむごたらしい焼死体のため、初めのうちはちょっと読むのがキビシイなあと思った。それが次第に気にならなくなってくる。

個性的なふたり、ワシントン・ポーとティリー・ブラッドショーのバディのおかげだ。

ポーは30代の独身男性。エドガーという名の犬と暮らしている。(ポーとエドガーって・・・みなまで言うまい(笑))

ブラッドショーは16歳でオックスフォード大学の学位をとった、数学・情報学の天才。犯罪の分析を担当している。

人づきあいが苦手で友人も少ない、変わり者のふたりは徐々に絆を深めていく。(LOVEではないよ。今のところは)

 

ストーリーは驚きの展開をみせ、最後は「終わったようで終わってない」感じをにおわせる。間違いなく続編があるクリフハンガー形式(笑)。

ずるいなあと思いつつ、見事にはまってしまった。

 

ストーリーについてはあまり書かずに、最初に触れた“他の面”について書こうと思う。

それは、ポーとブラッドショーのふたり、もしくは所属するチームが食事する場面。

捜査中の食事なので豪華ではないが、なぜかおいしそうなのだ。

とりあえず<セインズベリーズ>のカフェで朝食をとることにした。ポーはフルのイングリッシュブレックファスト、ブラッドショーはそのベジタリアン版にした。お茶はポット一杯分を分け合った。

(「ストーンサークルの殺人」24より)

 

(中略)ポーが最近、カーライルで見つけたあまり知られていない昔風のコーヒーショップに向かった。(略)

ランチ客が大勢いたが、窓の近くに席があいていた。ポーはドリップで淹れたペルーのコーヒーと本日のクラブサンドイッチープルドポークと飴色に炒めたタマネギーを注文した。ブラッドショーはココアを注文したのち、スープとサンドイッチのセットメニューを頼んでもいいかとポーに尋ねた。

(「ストーンサークルの殺人」24より)

 

三人とも交代で食事をとるつもりもなかったので、ポーが車でケンダルまで行き、<ブリティッシュ・ラージ>というインド料理とタンドール料理のテイクアウトの店で食事を買ってくることになった。フリンにはバターチキン、ティリーには野菜のバルティ、そして自分用にラムのマドラスを注文した・・・(以下略)

(「ストーンサークルの殺人」47より)

 

どんな料理かわからないが、陰惨な事件を捜査する刑事たちにとって唯一と言っていいリラックスできる時間であり、読者にとっても一息つける時間だ。

捜査に行き詰ったとき、音楽を聴いたり映画を見たりゲームをしたりする刑事は多いが、食事のシーンをこれほど詳しく描いている警察小説は私は初めてだった。

続編「ブラックサマーの殺人」でも、ポーたちの食事シーンに注目したい。

 

最後に原題“The Puppet Show”について。

“人形劇”という意味だが、puppetはdollと違い「操り人形」の意味がある。内容を含んだタイトルだと言えるだろう。私は邦題の方がシンプルで好きだ。