もりっちゃんのゆるブログ

楽しく、でも真面目に。 そんなブログを書いています。

「償いの雪が降る」を読みました

いよいよ年末。押し迫ってきました。

今年も今日を入れてあと4日です。

ようやく掃除を始めました(^^ゞ

ベランダから。

今年はおせちの準備が少ないので大晦日まで掃除に時間を使えますが・・・

どうなることやら。

 

償いの雪が降る ジョー・タルバートシリーズ (創元推理文庫)

「償いの雪が降る」(アレン・エスケンス 著/務台夏子 訳)を

読みました。

 

少々ロマンチックな邦題だが、原題は“The Life We Bury”。

Buryは“埋葬する”の意だから、“葬り去られた人生”というところか。

ミネソタ大学の学生、“僕”(ジョー・タルバート)は、

英語の課題で身近な年長者の伝記を書くことになる。

普通は親や祖父母を対象にするのだが、訳あってそれができない

ジョーは、介護施設で適当な高齢者を紹介してもらうことにする。

ジョーが引き合わされたのは、末期がんの患者で余命いくばくもない

カール・アイヴァソン。

カールは、三十数年前に少女を暴行し殺した罪で服役していたが、

最期を過ごすため仮釈放で施設に移っていたのだった。

カールの話を聞き書きするうちに、ジョーはその事件とカールの罪に

疑問を抱くようになる・・・

元は授業の課題から始まった聞き書きだったが、徐々にジョー自身の

問題になっていく。

これはもう課題でAを取るとか取らないとかの問題じゃなかった。

善悪の帳尻は最終的に合わねばならないという僕の素朴な信念とさえ、

無関係だった。なぜかこれは僕自身の問題となっていた。

(「償いの雪が降る」第三十二章より)

 

ジョーとジョーの隣人ライラ、二人の大学生が純粋でひたむきに

事件に向き合い、やがて恋に落ちるさまが、軽やかで好ましい。

ミステリー仕立ての青春小説というのが第一印象だ。

ロマンチックな邦題もむべなるかな。

でも、カールの過去(事件以前のヴェトナム戦争体験)や、

ジョーとライラそれぞれが抱える問題は重い。

それを踏まえてのラストは、

ちょっと出来過ぎやろ、と突っ込んでしまった。

しかし、本人たちが出した結論というところは納得できる。

 

ジョーの家は母子家庭だ。

父親にはジョーは会ったこともない。生死も不明。

母親はアル中で躁うつ病

弟のジェレミー自閉症で、ジョーは子どもの頃から

ヤングケアラーだった。

大学進学を機にジョーは家を出て自立をめざした。

唯一の気がかりは弟のジェレミー

ジョーは自分の目標と弟との間で揺れ動くのだ。

 

本来自分の未来は自分の意志で決められるべきだ。

だが残念ながら事情でそれが叶わない若者もいる。

それでも、当事者たちが納得できる道を選べることが大切だと思う。

ジョーが誰に頼まれたわけでなく、悩みながらも自分で出した結論に

私は救いを感じたのだ。

 

「償いの雪が降る」には続編「過ちの雨が止む」がある。

予約済みなので届き次第読みたいと思う。