もりっちゃんのゆるブログ

楽しく、でも真面目に。 そんなブログを書いています。

「ユージニア」を読みました

北風が秋を一気に連れてきました🍁

やっと衣替えかな。

 

昨日は宝塚まで「古都ヘラートの美Ⅱ アフガニスタン

細密画」を見に行ってきました。

その記事は後日アップします(^^)/

 

ユージニア (角川文庫)

「ユージニア」(恩田陸 著)を読みました。

恩田陸さんの作品では、なんといっても“夜ピク”です。

夜のピクニック」。

もう4年前になりますが、記事はこちら ↓

moricchan24.hatenablog.com

 

今回の「ユージニア」は、

最近読んだ「優等生は探偵に向かない」の解説で

紹介されていた作品。

ある事件を、多くの人物の視点から描いてある作品と

してだ。

普通、ドキュメンタリータッチで事件を描く場合、

新聞記事が挿入されていたり、記者や刑事が

三者として事件を語る場面があるのだが、

「ユージニア」にはまったくそれがない。

誰かわからないインタビュアーの質問に対し、

それに答える関係者の語りのみで構成されているのだ。

質問は何かわからない。答えだけなのだ。

 

初めはなんのこっちゃわからない。

何の話をしているのか。どんな事件か。

舞台はどこか。いつの話か。

それを考えながら読み進める。

作者はもちろん仕掛けをしているから、

だんだんわかってくる。

それがぞくぞくするほどおもしろい。

 

同じ事件について話をしているのに、

人によって印象が違う。

その人にとっては嘘ではないのだろうが、

どうしてもその人の思いが反映されてしまう。

数々の証言から浮かび上がる事件の真相は?

 

真相は最後には何となくわかる。

最後の第十四章を読み終えてから、再度第一章を

読み直した。

うーん。私の読み方で合っているのか・・・

事件は終わっていなかった。

事件に関わった者にとっては。

 

ところで、「ユージニア」って何?

これは冒頭に登場する。

ユージニア、私のユージニア。

私はあなたと巡りあうために、

ずっと一人で旅を続けてきた。

遠い夜明けに震えた日々も、

今日で終わりを告げる。

これからは永遠に、私たちは一緒。

私の唇に浮かぶ歌も、

朝の森で私の靴が踏み潰す虫たちも、

絶え間なく血を送り出す私の小さな心臓も、

全てをあなたに捧げよう。

(「ユージニア」より)

これを読んで、読者は想像する。

この詩篇のような、歌詞のような、手紙のような

一連の言葉とともに、「ユージニア」を想像しながら

本編を読み進む。

 

ファンタジーな面もありながら、

常に狂気を感じる、本当にぞくぞくするほど

おもしろい作品だった。