朝は曇っていましたが、だんだん太陽が出てきました。
暑くなるかな~🌞
有栖川有栖著「狩人の悪夢」を読みました。
去年本屋さんで買った「火村&アリスシリーズ」の当時の新刊。
有栖川さんがあとがきで書いておられるが、
このシリーズ、2017年の3月でコンビ結成25年になるそうだ。
でもサザエさん方式のこのシリーズ、2人はちっとも年をとらない。
2016年に日テレでこのシリーズが斎藤工と窪田正孝でドラマ化され、
楽しんで見た。
去年続編が放映されたが、初回だけが地上波で以降はhulu配信。
残念な思いをブログに書いた覚えがある。
2016年の連ドラのとき、斎藤工演じる火村が悪夢を見るシーンが
あった。<深い森で、火村が倒れた男にのしかかってナイフで
何度も刺す>という映像だった。
実は火村が悪夢を見るのは、このシリーズ全般にわたってたびたび
触れられるモチーフだ。
アリス自身が火村がうなされる場面に出くわすこともあるし、
火村が住む下宿屋のおばさん(ドラマでは夏木マリだった)が
火村を心配してアリスに相談することもあった。
水を向けるアリスに、火村はその内容を決して語らない。
ただ「人を殺す夢だ」と言うだけ。
その火村の夢にドラマで映像が付いたのだ。
この映像についてはもちろん作者も了解していたのだが、
その映像を何回か見るうちに、「悪夢」をモチーフにした長編を
書いてみたくなったそうである。
(文庫版あとがきより)
さて、「狩人の悪夢」は
オーソドックスな「お出かけ巻き込まれ型」のミステリである。
ミステリー作家の有栖川有栖が対談相手のホラー作家
白布施正都(しらふせまさと)に誘われて、亀岡にある
彼の家「夢守荘」を訪問することになる。
白布施は「悪夢」を題材にしたホラー小説「ナイトメア・ライジング」
で一躍有名になった作家。
「夢守荘」には、そこで眠ると必ず悪夢を見る部屋、が
あるというのだ。
アリスはその部屋に泊まることに・・・
怪しそうな登場人物がそこそこの人数 登場し、
廃屋やうっそうとした森という環境、
落雷を伴う暴風雨や濃霧という気象現象 など
ミステリーの条件は整っている。
私はミステリーを楽しみながら、火村とアリスの掛け合いを
読み込むことに重点を置いている方だ。
気持ちのいい友情は心を軽くしてくれる。
自分にはないものを希求しているので、一種の現実逃避とも
言えなくはない。
心が外に向けられない、向きにくい今は、自分の心の内と
向かいがちだ。
読書は自分の心の内と外を開け閉めする窓みたいなもの。
換気が大事だと言われているが、心の窓もときどき開けて
外の空気と入れ替えよう。
まだまだ知らない世界がいっぱいあるのだから。