もりっちゃんのゆるブログ

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「国宝 上 青春篇」を読みました

今日は暖かいです🌞

ウォーキングの途中で上着を脱ぎました。

春っぽくなってきましたよ。

花粉症のかたにはそろそろツラい季節ですね。

私も鼻ムズムズや鼻水、くしゃみくらいの軽い症状ですが、

出てきました。

コロナと共に気をつけていきましょう(^^)/

 

国宝 (上) 青春篇

「国宝 上 青春篇」(吉田修一 著)を読みました。

 吉田氏の作品は「悪人」「怒り」「路」に続いて4作目です。

このかたの作品世界は広いですね~

何の前情報も得ず読み始めたので、

「国宝」というタイトルから国宝を作った歴史上の人物か

人間国宝のお話かと予想していました。

いきなり冒頭がヤクザの新年会でした。

まずこのギャップにやられました。

 

主人公はヤクザの組長の息子に生まれた喜久雄。

その喜久雄がやがて「日本一の女形」と呼ばれる名歌舞伎役者に

なるまでを描いたお話です。

先ほど、ヤクザの話から始まり驚いたと書きましたが、

もう一つ冒頭から驚いたのはその文体です。

第一章はこんなふうに始まります。

その年の正月、長崎は珍しく大雪となり、濡れた石畳の坂道や

晴れ着姿の初詣客の肩に降り積もるのは、まるで舞台に舞う

紙吹雪のような、それは見事なボタ雪でございました。

  (「国宝」(上)より)

文末が「~でございます」「~でございました」と、

まるで講談を聞いているような、人の口で語られた生々しさがあり、

壮大な舞台をずっと見続けている観客の気分にさせられます。

小説から「情」や「熱」を感じるのはもちろん、一番感じたのは

「匂い」と「色気」。

一度も生で歌舞伎を見たことがないのに、舞台や楽屋の気配を

すぐそこに感じられるのです。

上下巻の長い小説ですが、読み始めたら知らぬ間にどんどん

読めているから不思議。

上巻は、ヤクザの息子だった喜久雄が大阪の歌舞伎役者花井半二郎の

部屋子となるところから、出奔した俊介(二代目半二郎の息子)

が戻って来るところまで。

登場人物で一番気になったのは、喜久雄と兄弟の盃をかわした

徳次。それは次の下巻で触れることにします。