「グレイラットの殺人」(M・W・クレイヴン 著/東野さやか 訳)を読みました。
昨年刊行されたポー部長刑事のシリーズ最新作、図書館での予約順番がやっと回ってきました。
このシリーズはお気に入りです。1作目の「ストーンサークルの殺人」を図書館に予約をかけなかったら、絶対この4作目まで自分で買いそろえていたでしょう。
仮面をつけた強盗団が貸金庫を襲うシーンから始まる今作。仮面はすべてジェームズ・ボンドを演じた役者だというからおもしろい。(私が知らない俳優もいたが)
その強盗団は身元不明の遺体とねずみの置物を残して消えた。
3年後、サミット開催が迫るなか、要人搬送するヘリ会社の社長が殺される。テロを警戒した政府は、ポーに事件の捜査を命じるが・・・
フリン警部が療養中で寂しく思っていたが、その代わりFBIからメロディ・リー捜査官が参加する。やはり女性が多い方が重苦しい事件の気分を和らげてくれる。
(そしていよいよ次作ではフリン警部が復活しそうだ)
ラットの置物は、一言でいえば恨みの象徴だった。そしてその原因は突き詰めれば戦争だ。戦争はそれだけで悲劇をもたらすが、終わってからも禍根を残すことがよくわかる。極限の生活は、人間の愚かな部分を出現しやすくするのではないかと思える。
700ページを超える長編だが、半分を過ぎても広がるだけ広がってちっとも収束がみえない。ちょっとしんどいなと思う頃、一気にギアがあがり、あとはノンストップという感じ。そのあたりはさすがだ。
ポーの個人的な捜査(出生に関わる)も少しずつ進んでいる。
母親に会えれば謝りたいというポー。それは実現するのだろうか。
さて、私の図書館の予約リストはゼロになった。これからどの作品の予約をかけるか、今は手持ち本の消化に努めるか、悩みどころである。