4月24日(火)に大阪市立美術館へ「特別展 江戸の戯画
去年から楽しみにしていて、前・後期で展示品が入れ替わる
ため前売り券を2枚用意していました。
前期は、大好きな国芳の金魚づくしシリーズの現在確認されて
いる9図が勢揃い(前期のみ)するので、混むことを予測して
雨模様の日に行くことにしたのでした。
鍵付きの雨傘入れもあり、折りたたみ傘にはビニール袋が
用意されていて、無料のコインロッカーもあるので、
雨でも身軽に見学できるようになっています。
作品の撮影は禁止だったので紹介できないのが残念ですが、
金魚づくしのコーナー以外はまあまあすいていて、
ゆっくり鑑賞することができました。
そもそも「戯画」の示す範囲は広く、笑いを誘う面白い絵
という意味では江戸時代に限っても数限りない。
この展覧会では18世紀前半の大坂を中心に流行した
「鳥羽絵」から始まり、その鳥羽絵を洗練させたと
言われる大坂の耳鳥斎、
鳥羽絵の影響が顕著にみられる葛飾北斎、
江戸の戯画では外すことのできない歌川国芳、
少々ばかばかしい江戸幕末の「滑稽名所」シリーズ、
戯画の様々な要素を取り込んだ河鍋暁斎の6部構成に
なっています。
①鳥羽絵
18世紀の大坂を中心に流行した軽妙な筆致の戯画。
描かれた人物は、目が小さく鼻が低く、口が大きく、
極端に手足が細長いという特徴がある。
「鳥羽」は国宝「鳥獣人物戯画」の筆者と伝えられて
きた鳥羽僧正覚猷(とばそうじょうかくゆう)に由来
するとされる。
現代の新聞の4コマ漫画に通じるものがあると思った。
日々の生活で感じる可笑しさや、権力への風刺が
現れている。
②耳鳥斎
18世紀後半大坂で活躍した絵師。平素は松屋平三郎と
称し酒造業や骨董商を生業にしていた。
流派に属さず何者にも拠らない一風変わった画風を
持つ。
「地獄図巻」がすごかった。それぞれの立場や職業の
人が地獄で鬼に拷問にあう図。
たとえば、歌舞伎役者なら大根と一緒に鍋で煮られる。
川魚屋は串に刺されて焼かれる。
豆腐屋は圧搾機で絞られる。
と恐ろしい図なのだが、不思議と人々は苦しそうでは
ない。にこにこしている顔もある。
あくまでもユーモアと遊び心にあふれている。
③北斎
浮世絵で有名な葛飾北斎も戯画を描いている。
やっぱり面白かったのは「北斎漫画」。
漫画は思いつくまま漫然と描いたという意で、
現在のマンガやコミックとは異なる。
実際に見ると、「お絵かき帳」や「スケッチ帳」に
近いと思った。
さらさらと描いたように見えるが、さすがの北斎、
緻密で上手い。
④国芳
江戸の戯画といえば歌川国芳。
猫に金魚、狸に兎、独楽や化粧道具までも
擬人化され楽しげな世界を繰り広げる。
「金魚づくし」シリーズは9図まで確認され
10図目が存在する可能性が期待される。
金魚づくしのコーナーは今回の目玉なので混みこみ。
でも皆整然と並んで順番を待ちました。
「ぼんぼん」とは2011年の「歌川国芳展」以来の
対面。相変わらずカワ(・∀・)イイ!!
他のタイトルは、「いかだのり」
「にはかあめんぼう」「すさのおのみこと」
「まとい」「玉や玉や」「さらいとんび」
「酒のざしき」「百ものがたり」。
あと「其まゝ地口猫飼好五十三疋」
(猫の東海道五十三次)や
「たとゑ尽の内」(猫のことわざ)もありました。
⑤滑稽名所
幕末に出された名所を舞台とした戯画。
江戸を舞台にした「江戸名所道戯尽」(歌川広重)、
京を舞台とした「滑稽都名所」(一鶯斎芳梅)、
大坂を舞台とした「滑稽浪花名所」(一鶯斎芳梅)
が主なシリーズである。
王子の狐に化かされたり、清水の舞台から
飛び降りたり、住吉の太鼓橋から転げ落ちたり、
のドタバタ劇。
ほとんどギャグ漫画の世界。日常の笑いを大げさに
表現したように感じる。
⑥暁斎
幕末から明治に活躍した絵師、河鍋暁斎。
鳥羽絵や北斎からも影響がうかがえる。
先人たちによるさまざまな戯画を参考にしていた
ことがわかる。
色彩の鮮やかさに目を奪われた。カラフル!
一番面白かったのは「伊蘇普物語之内」。
イソップ物語の一場面を描いたもので、
確かにイソップも擬人化されたお話だと
思いました。
後期に出品される作品も多いので、後期も
楽しみ。
(黒字は図録、チラシを参照した。赤字は私感想)
パネルの写真を。
「金魚づくし 百ものがたり」
百物語をご存知ですか?
ろうそくを100本灯して車座になり一人ずつ怖い話をします。
終わったら1本ずつろうそくを消してゆき、100話終わったら
怪異が現れるΣ( ̄ロ ̄lll)というもの。
怪異が現れる前の99話まででやめるという方法もあります。
金魚たちが百物語をやって、猫という怪異が現れたという図。
ホンマこの猫怖いわ(^^ゞ
これは「金魚づくし ぼんぼん」の一部。
お土産は図録と下の飴ちゃんです。
丸い紙箱は手芸のときの小物入れにしようと思っています。
絵はがきは「金魚づくし」が売り切れ御免でした。
改めて人気を思い知りました。
前期は5/13(日)まで、後期は5/15(火)~6/10(日)
です。