もりっちゃんのゆるブログ

楽しく、でも真面目に。 そんなブログを書いています。

「雪密室」を読みました

雪密室 新装版 (講談社文庫)

「雪密室」(法月綸太郎 著)を読みました。

 

ミステリー作家 法月綸太郎とその父 法月警視の父子シリーズの第1作。このパターンは、エラリー・クイーンのエラリーとクイーン警視のシリーズと同じです。最近では、「境界の扉」を読みました。 ↓

moricchan24.hatenablog.com

 

さて、今作は“密室もの”として取り上げることにしました。タイトルから“密室”をうたっていますし。

目次の前にこんな言葉が書かれています。

白い僧院はいかに改築されたか?

先に読んだカーの「白い僧院の殺人」をオマージュしたものと言えるかな。

moricchan24.hatenablog.com

 

法月警視は雪の山荘“月蝕荘”のオーナー 沢渡冬規から招待状を受け取る。オーナーの名前の下には謎の女性 篠塚真棹の署名があった。警視は息子の綸太郎にも目的を告げず、“月蝕荘”を訪れるが、山荘には他にも客人がいた。雪が降り積もった朝、真棹の死体が離れで発見される。部屋は施錠され、雪上には発見者の足跡だけ。不可能状況から自殺で処理しようとする地元警察に対し、警視は殺人を疑うのだった・・・

 

よく似ている。「白い僧院の殺人」の状況と。法月警視が殺人の発生を息子に知らせる場面。

「『月蝕荘』には離れがある。そこで彼女の死体が見つかった。井賀沼では、今日の未明に雪が降ったんだ。死亡推定時刻には降りやんでいた。離れの周りの雪の上には、発見者の足跡しかなかった。しかも俺が行くまで、発見者が離れに入るのは不可能だった」

「まるでカーター・ディクスンの小説みたいだ。(略)」

「(略)カーター・ディクスンの小説というのは、なんだ」

「『白い僧院の殺人』です。(略)」

(「雪密室」より)

 

もちろん密室トリックはまったく異なる。ただ、私は先に「白い僧院の殺人」を読み、そのときに候補として考えたトリックの一つだったので、ちょっと残念だった。だから、トリックそのものより、犯人の追い詰め方、トリックの暴き方の方に興味をひかれた。

探偵役も、この1作目は法月警視の方に重きが置かれ、彼自身の体力、気力の衰えを感じるシーンには思わず共感してしまった。(笑)

 

ストーリーに関係ないが、私は山荘や小さいペンションに泊まった経験がないので、ちょっと憧れがある。景色のよい山荘に、いい季節であれば訪れてみたい。

  (無料イラストより)