もりっちゃんのゆるブログ

楽しく、でも真面目に。 そんなブログを書いています。

「背の眼」を読みました

昨日からおやつをやめ、夕食の炭水化物をやめ、

1時間のウォーキングをしています。

正月に増えた体重を戻すためです。

健康診断まであと3日。うーん、間に合うか・・・

 

背の眼

「背の眼」(道尾秀介 著)を読みました。

なんだか棚で見かけると手に取ってしまう道尾作品。

2005年の発行で初期の作品になりますね。

第5回ホラーサスペンス大賞特別賞受賞作です。

(このときの大賞は沼田まほかるの「九月が永遠に続けば」。

 これもすごいですよ)

 

写真に映った人物の背中に、人間の眼のようなものが映りこみ、

その人物がやがて謎の死を遂げる・・・という

ホラーど真ん中の出だし。

主人公は作家の道尾秀介

(著者と同じ名前ですが、同じ人物ではないそうです(笑))

旅先の白峠村(設定は福島県)の河原で耳にした“謎の声”に

ついて、友人・真備庄介(まきびしょうすけ)に相談しようと

「霊現象探求所」を訪れる。

真備はそこで“霊”の正体を求めて、相談者が持ち込む相談

(主に心霊写真の謎)にのっている。

なんと道尾が話した“謎の声”の現場は、

真備が今抱えている心霊写真の現場と非常に近かった。

“謎の声”は霊の声なのか?

背中に映った目は霊なのか?

なぜその人物は自殺してしまうのか?

疑問を抱えて、道尾と真備、そして真備の助手 北見凛は

白峠村を訪れる・・・

 

始まりこそ怖くて気持ち悪いが、だんだんそうでも

なくなってくる。

これはどちらかというと伝承、伝説をモチーフにした

ミステリーに近い。

提示された謎はある程度だが明らかになって解決をみるからだ。

ただすべてはすっきりしない。なにせ“霊”だから。

奇妙なことに、すべてを完全に理解できたわけではないにも

かかわらず、やけにゆったりとした気分だった。

理性を駆使した理解に達するよりも、不可解を感覚的に

納得してしまうほうがいくぶん楽なのかもしれない。

(「背の眼」“終章 面”より)

これは真備が謎解きをしたあとの道尾の感想だ。

私も同じように感じた。

 

ミステリーだから、内容はほどほどにしないといけないが、

触れておきたいことが2点ある。

ひとつめは、雰囲気が京極夏彦の「京極堂シリーズ」に

非常に似ていることだ。

これは巻末に載っている「第5回ホラーサスペンス大賞」の

選評でも触れられているので、間違いないだろう。

かなりインスパイアされたのだろうなと思う。

私は「京極堂シリーズ」の大ファンだが、

雰囲気が似ていることで特にマイナスにはならなかった。

京極堂シリーズ」を読んでいる者でも充分おもしろいし、

読んだことがない人ならそれは新鮮だろうし。

 

もうひとつは、ミステリーの小道具として使われた

浮世絵。

歌川広重の「東海道五十三次」のうちの一枚を、

道尾たちが泊まった民宿の主人が客の出身地に合わせて

部屋に飾ってくれるサービスをしてくれるのだ。

東海道が出身地じゃなくても、その地の風景に合わせた

絵を選んでくれる。

これはおもしろいなと思いました。

 

「背の眼」には続編があり、家の蔵書を探したら見つかりました。

文庫ですが「骸の爪」。

やっぱり怖いタイトル。

でも読むよ。