もりっちゃんのゆるブログ

楽しく、でも真面目に。 そんなブログを書いています。

「骸の爪」を読みました

今冬は寒さが厳しいので、春が待ち遠しいです。

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  (無料イラストより)

 

 

骸の爪 (幻冬舎文庫)

「骸の爪」(道尾秀介 著)を読みました。

「背の眼」の続編になります。

どっかにあったはず・・・と手持ちの文庫を調べて、

見つけました。BOOK OFFで110円也。

 

主人公である小説家の道尾秀介は、福島県で遭遇した事件を

基に小説を発表し(これが「背の眼」という設定)、

次は仏像をテーマに文化的ホラー長編(??)を書こうと

滋賀県の仏像工房(仏所という)を訪れた。

泊りがけの取材中、道尾は仏像が口をあけて笑ったり、

頭から血を流す仏像を目撃した。

霊現象探求家 真備庄介に相談した道尾は、真備の助手 北見凛と

3人で再び仏所を訪ねる。

 

前作「背の眼」に比べて筋運びが自然で、

読者の感情も乗りやすい気がします。

 

本の内容とは直接関係ありませんが、

私は仏像を見るのが好きです。

特別拝観に合わせてよく京都や奈良へ出かけたものでした。

私が好きな仏像は・・・

観音菩薩像かな。

お気に入りは、千本釈迦堂六観音像。

この六体の観音様は、六道と呼ばれる

人が死んだあと生まれ変わる六つの世界での

苦しみから救ってくださると言われています。

上記の観音様、上から、地獄界・餓鬼界・畜生界・

修羅界・人(人間)界・天界を担当(?)されています。

千本釈迦堂(お寺の名前は大報恩寺)の本堂ではなく、

霊宝館に他の仏像とともに安置されています。 

この六観音像を初めて見たときは、どきどきしました(笑)

色気を感じるんです。今の言葉だと、萌え💗ですよ。

馬頭観音さまは恐いお顔ですが、あとの観音さまは

やさしさ、あたたかさ、つめたさ、しずけさ、

相反するオーラが感じられ、不思議な心持ちになりました。

北野天満宮から近いです。

機会があればぜひご覧ください。

 

ホラー感も薄く、それほど怖くありません。

人間の抗えない運命の哀しさ・・・みたいなのが

主題ではないかと思います。

ラストに、防ぐことができたのではと思う人物の死が

描かれ、登場人物と同じく残念な気持ちになります。

 

タイトルの「骸の爪」には、いくつかの意味が内包されて

いると思いますが、

ひとつ大団円後の道尾のセリフを引用しておきます。

「(前略)けっきょく人間なんてみんな、もぐら

みたいなものなのかもしれない。相手のほんとうの

姿なんて見えないまま、暗い中を鼻先で探り合って、

爪の先であちこち土を掻いて、なんとなく上手い

こと生きてー」

(「骸の爪」終章より)

登場人物の一人が京都北部の丹波出身で、

もぐらのことを「むくろ」と言うと聞いていた

道尾が連想したのでした。

 

最後にもうひとつ。

事件に関わる刑事さん二人の名が、谷尾刑事と竹梨刑事。

どこかで聞いた名前だなあ・・と読みながらずっと

考えていて、思い出しました。

「貘の檻」です。

あれは長野が舞台だったはず。

あれから両刑事は滋賀に異動になったのかしら。

ちょっと待てよ。

刊行は「骸の爪」のほうが早いから、

滋賀から長野に異動か。

こういう発見は楽しいです。

 

*1/23 13:30 追加修正しました