今日も寒いです。風がおさまってそれだけでもありがたい。
「子規を「ギャ句”」る 名句をひねると「ギャ句”」になりました」
(夏井いつき 著)を読みました。
夏井いつき氏は、テレビ番組「プレバト」で俳句の辛口先生として
知られる俳人です。
私は俳句を詠みませんし詳しくもないですが、
以前も書いたように正岡子規が好きなのと、
9/19(土)付毎日新聞の書評欄「今週の本棚」で橋爪大三郎氏が
とり上げられていたのを読み、図書館で予約しました。
今もひとケタですが予約がついています。
「ギャ句”」とは、
有名俳人の名句の一字一音を替えることによって、意味を愕然と
変えてしまおうという一種の言葉遊び
(「子規を「ギャ句”」る」はじめに より)
だそうだ。
それの子規バージョンというわけ。
全国のギャ句”ラー(ギャ句”愛好家)からギャ句”を募集し、
夏井先生がランク付けをしました。(一ツ星から三ツ星まで)
季語を春夏秋冬に分け(新年の季語は冬か春に入れている)、
季語の解説→子規の俳句・解説→ギャ句”・解説
の順に紹介されている。
季語の解説や子規の俳句の説明も勉強になるので、
二ツ星と三ツ星のギャ句”だけ、元の子規の句と合わせて
ノートにした。
橋爪先生が書評で挙げられていたギャ句”を、ここでも紹介しておこう。
陽炎や七年前の顔見ゆる(子規)
→陽炎や七年前の由美かおる(ギャ句”)
いくたびも雪の深さを尋ねけり(子規)
→いくたびも雪のカフカを尋ねけり(ギャ句”)
下駄ぬいでふんでも見たり春の草(子規)
→下駄ぬいで糞で揉みたり春の草(ギャ句”)
簡単なダジャレにみえて、なかなか高度な遊びだ。
最低限の変換で最大限の転換を狙う。
本書「はじめに」で紹介されているギャ句”の宗匠杉山久子氏の
ギャ句”も紹介しておく。
痩馬のあはれ機嫌や秋高し(村上鬼城)
→痩馬のあばれ危険や秋高し(ギャ句”)
新涼や白きてのひらあしのうら(川端茅舎)
→心中や白きてのひらあしのうら(ギャ句”)
鎌倉を驚かしたる余寒あり(高浜虚子)
→キャバクラを驚かしたる股間あり(ギャ句”)
行く春や鳥啼き魚の目は泪(松尾芭蕉)
→行く春や疣胼胝魚の目がなんだ(ギャ句”)
すごい! おもしろい!
本書で元になった子規の句の良さをあらためて感じることができ、
それもよかったと思う。