もりっちゃんのゆるブログ

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「湖の男」を読みました

例年よりずいぶん早く梅雨入りしました。🌂

こちらはまだそれほど雨が強くありませんが、台風が近づくにつれて大雨になりそうです。最新の情報に注意して、油断なく過ごしたいです。

 

湖の男 (創元推理文庫)

「湖の男」(アーナルデュル・インドリダソン 著/柳沢由実子 訳)を読みました。

アイスランドが舞台のシリーズ、邦訳4作目です。

原題の“クレイヴァルヴァトン”は、湖の名前。

クレイヴァルヴァトン湖の水位が下がり、底に沈んでいた骸骨が発見されるところから今回の物語は始まり、その骨の主(男性だということはすぐわかる)の正体を求めて、

いつものメンバー・・・エーレンデュル、エリンボルク、シグルデュル=オーリが捜査を開始する。

 

どこの国にも失踪者は多い。行方不明になってから何年たっても、帰ってくるのを待ちわびている家族もいる一方、死んだものと諦めている家族もいる。待っている家族や恋人が亡くなってしまっている場合もある。

本人は行方不明なのに、その“存在”は香りのように残っていて、エーレンデュルはその香りをとても大事に考えていることがわかる。

 

今回の物語にはアイスランドの歴史が下敷きにある。まったく知らなかった歴史だったので興味深かった。訳者の柳沢氏が書かれたあとがきから、少し引用する。

アイスランドは戦中の1944年にようやくデンマークから独立したばかりで、第二次世界大戦終結後の1949年にイギリス、フランス、アメリカが中心になって創設したばかりの軍事同盟、北大西洋条約機構NATO)のオリジナルメンバーの一国となった。(中略)地理的には大西洋の北にあって、片方にアメリカとイギリスを含む西側諸国、もう一方にソ連を中心とした東側諸国がある。アイスランドは、当時の東西冷戦下では「ワシントンとモスクワを結ぶ最短直線経路の真下に位置している」軍事上重要な地点であり国だった。この『謎の男』は、アイスランドが“鉄のカーテン”との境目の微妙な位置にあって、国内外にスパイが跋扈していた時代を題材にしている。

(「湖の男」訳者あとがきより)

 

スパイなんて映画の世界しかイメージがわかないが、おそらく近いことはあったのだろうと思う。「革命前夜」(須賀しのぶ 著)を読んだときも同じことを思ったことを覚えている。

    ↓ 過去記事

moricchan24.hatenablog.com

 

レギュラー陣のプライベートはだいぶ変化してきた。

エーレンデュルには恋人ができた。

エリンボルクは料理本を出版した。

シグルデュル=オーリはパートナーのベルクソラとの間に子どもができたが・・・

エーレンデュルの娘と息子の関係はまだまだ改善できていない。前作でいい感じにみえた娘のエヴァは、また薬物依存症に戻ってしまった。エーレンデュルは「もう自分にはどうにもできない。そもそも十分大人になった子どもをどうにかしようとすることこそ、無理だし逆に避けるべきことかも」と思い始めている。しかし、事件の捜査をしながら、常に娘や息子のことを考えているのだった。

このエーレンデュルの思いはすごくわかる。常に揺れ動くのだ。親は辛いなあ・・・

 

なんちゃらデュルという地名や人名にもだいぶ慣れてきた。(笑)

慣れてきた頃にシリーズが終わってしまうと残念だが、まだ続きはある。頭がアイスランドに慣れているうちに次作を読まなければー