もりっちゃんのゆるブログ

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「湿地」を読みました

湿地 (創元推理文庫)

「湿地」(アーナルデュル・インドリダソン 著/柳沢由実子 訳)を読みました。

 

初めてアイスランドのミステリーを読んだ。

何せ“アイス”ランドなんだから、たぶん寒くて冷たいところなんだろうと想像していた。

舞台は2001年10月のアイスランドレイキャヴィク。ずっと雨ばかり降っていて、寒いというより冷たくて痛いという感覚が伝わってきた。

 

雨交じりの風が吹く、十月のレイキャヴィク。北の湿地にあるアパートで、老人の死体が発見された。被害者によって招き入れられた何者かが、突発的に殺害し、そのまま逃走したものと思われた。(中略)

だが、現場に残された三つの単語からなるメッセージが事件の様相を変えた。

計画的な殺人なのか?

しだいに明らかになる被害者の老人の隠された過去。

レイキャヴィク警察犯罪捜査官エーレンデュルがたどり着いた衝撃の犯人、そして肺腑をえぐる真相とは。

(「湿地」表紙紹介文より)

 

エーレンデュルとエーリンボルク、シグルデュル=オーリの3人が執念をもって捜査をする警察小説のくくりに入るかなと思う。

エーレンデュルは50代の男。離婚して長く、子どもたち(息子と娘)ともうまくいっていない。

問題を抱える主人公とリンクするように事件が解明されていく。

事件の真相はつらく、悲しいものだった。どん底のように暗い描写が続くのだが、なぜか冷たさと熱さの両方を感じた。

人の体温を、心の温かさを求めたい気持ちを感じるのだ。

この物語は続編があるので、続けて読んでみたいと思う。

 

なんといっても困ったのは、人物の名前だ。

名前がよく似ていて、長い。誰が誰やら・・・久しぶりに苦労した。

 

原題はアイスランド語で“湿地”、イギリス版のタイトルは“Jar City”

から“Tainted Blood”に改題されている。

訳者の柳沢氏は、スウェーデン語版から訳されたそうだ。

遠い国のミステリーを読めることはもはや不思議でも何でもないが、いろんな人の手を経て今自分の手にあることはやはり不思議な気がする。