もりっちゃんのゆるブログ

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「罪の壁」を読みました

冬服が重たい・・・このままぐーっと暖かくなるのかー

何を着たらいいか迷ってしまいます。

H3ロケット🚀、残念でした・・・

 

罪の壁 (新潮文庫 ク 43-1)

「罪の壁」(ウィンストン・グレアム 著/三角和代 訳)を読みました。

1955年に英国で出され、第1回ゴールド・ダガー賞(英国推理作家協会最優秀長篇賞)を受賞した作品。今まで邦訳がなかったのが、今年1月文庫で出されました。

と、こんなことはあとで解説を読んで知ったことで、なんとなく暗い表紙とタイトルに惹かれて手に取りました。

 

イギリス生まれのフィリップは3人兄弟の末っ子。実家の商売を継いだ長兄とも、考古学者の次兄とも違うアメリカでの暮らしを選ぶ。

1954年、フィリップは次兄 グレヴィルがアムステルダムの運河で身を投げたとの報を受ける。グレヴィルの自殺を信じられないフィリップは、次兄と共に発掘に携わっていた男と、謎の女(恋人?)の行方を追うー

 

ミステリー要素を期待しすぎると少々不満が残るかもしれない。

この作品の魅力は、第二次大戦が終わって十年後の世界と、主な舞台であるアムステルダムカプリ島にある気がするからだ。

戦争の前後で価値観や善悪の考え方がすっかりかわってしまい、それを受け入れられた人と難しかった人とで、埋められない溝ができてしまっている。

アムステルダムは大きな都市だが、なんとなく暗い影が漂い、グレヴィルが身を投げた運河の近くは風俗街になっている。一方カプリ島は地中海の明るい島で、訪れる人たちは海のリゾートを楽しんでいる。その対比が見事だ。

アムステルダムの暗い風俗街で人々はなぜか楽しそうで、カプリ島の砂浜で人々はなぜか物憂げだ。

人々がまだまだこれからの生き方を模索していたんだと思う。

 

原題は“The Little Walls”で、小さな壁の意。

グレヴィルが亡くなった運河近くの風俗街は、地元で「デ・ヴァレチェス」と呼ばれ、それが小さな壁という意味だ。

あとは読者に委ねられている。どう読むか、どう読み取るかは。

ミステリーあり、ラブロマンスあり、サスペンスもヴァイオレンスも、いろんな味付けがされている作品だと言える。

 

この作品にアマルフィというイタリアの都市が登場する。

作品からは離れるが、織田裕二天海祐希が出演した映画(「アマルフィ 女神の報酬」)を見て、この街に魅了された。

調べると2009年の映画だった。ずいぶん経つなあ~