正月以来いいお天気が続きましたが、今日は曇って寒いです。
西日本でも雪になりそうとのこと。
暖かくして過ごしましょう(^^)/
「ゴルフ場殺人事件」(アガサ・クリスティー 著/田村義進 訳)を読みました。
名探偵ポワロシリーズの2作目。
元軍人のヘイスティングズと再会したポワロがふたりで事件に挑む。
原題は“The Murder on the Links”。LinksはここではGolf Links、ゴルフ場のこと。
タイトルではゴルフ場で起きた殺人事件に思われるが、
最初の死体がゴルフコース(それも建設中)のバンカーで発見される
というだけで、作品の主な舞台はフランス・メルランヴィルの
ジュヌヴィエーヴ荘という家だ。
「スタイルズ荘の怪事件」以来、ヘイスティングズと一緒にロンドンに
住んでいるポワロは、南米で財を蓄えた富豪ルノー氏から「至急フランスの
ジュヌヴィエーヴ荘へ来てほしい」という手紙を受け取る。
「ある秘密のため命を狙われている」というのだ。
ヘイスティングズと共に現地に赴いたポワロを待っていたのは、
当のルノー氏が殺されたという知らせだった。
この作品の一番の読みどころは、ポワロとヘイスティングズの
掛け合いと関係の変化だと思う。
ヘイスティングズは惚れっぽいキャラで、「スタイルズ荘~」でも
登場人物の2人に恋をして破れた(笑)
今回も、ジュヌヴィエーヴ荘の隣のマルグリット荘に住むマルト嬢と、
謎の美女シンデレラに惚れる。
ポワロにもからかわれる。
「昨日はマドモアゼル・ドーブルーユ(註:マルトのこと)、
今日はマドモアゼル・シンデレラ! きみはトルコ人の情熱を持っている、
ヘイスティングズ。そのうちにハレムができそうだね」
(「ゴルフ場殺人事件」13不安そうな目をした娘 より)
ヘイスティングズの一途な情熱ととんちんかんな推理が、ポワロの鮮やかな
謎解きをより際立たせている。
また、今回はフランスでの事件なので、パリ警視庁のジロー刑事が
登場する。
ポワロは“灰色の脳細胞”を駆使する頭脳派、ジローは“捜査は足で”の昭和の刑事
(?)なので、予想通りふたりは対立。
犯人検挙のためふたりは賭けをすることになる。
「(略)どちらが先にムシュー・ルノーを殺した犯人を見つけだせるか、
五百フランを賭けて競争しませんか。どうです」
(「ゴルフ場殺人事件」24「あのひとを助けて」より)
この賭けに勝ったポワロが500フランで購入したものーこれが傑作!
命を脅かすような秘密は持たないこと、
勇気と忍耐力、そして愛情が人生には何よりも大切なことだと
教えたもらった。
文庫解説は、ドラマでポワロの吹き替えを担当した熊倉一雄氏。
ドラマの裏話もありおもしろかった。