もりっちゃんのゆるブログ

楽しく、でも真面目に。 そんなブログを書いています。

「星の子」を読みました

寒波がやってきました。⛄

今日は高校駅伝有馬記念があるので朝からテレビをつけて

いると、駅伝が行われている京都では雪が舞っていました。

夕方からは京阪神も雪の予報。降るかしら・・・

有馬記念牝馬(ひんば:めすうまのこと)の

クロノジェネシスを応援します。

 

星の子 (朝日文庫)

「星の子」(今村夏子 著)を読みました。

昨年、芦田愛菜ちゃん主演で映画になりました。

その頃、図書館で予約してようやく順番が回ってきました。

 

本の帯にはこうあります。 ↓

ちひろは中学三年生。

出生直後から病弱だった娘を救いたい一心で、

両親は「あやしい宗教」にのめり込んでいき、

その信仰は少しずつ家族のかたちを

歪めていく・・・。

 

物語はちひろである「わたし」のことばで語られている。

両親がその「あやしい宗教」を信じる理由や経緯。

叔父夫婦が何とかその宗教から脱退するように説得したり、

親戚や親しい人が遠ざかっていくこと。

姉のまさみは高校を退学し家出してしまう。

ちひろと両親は引っ越しを繰り返し、そのたびに家が小さく

狭くなっていく。

小学校も中学校も修学旅行に行くお金がなかった。

さまざまなエピソードが、家族の「あやうさ」を映し出す。

 

「星の子」というタイトルには、いろんな意味が含まれて

いるようだが、

この宗教の集会で使われる冊子(のようなものだろう)

の名が「ほしのこ」という。

子ども向きに宗教の教えをやさしく表した物語形式の

本だろうと思う。

 

難しい内容ではない。

会話が多いし、すぐに読み通せる。

ただ、物語が終わりを迎えても、無事に着地していない

不安定感がある。

ずっとずっと常に危うい。

家出したまま消息の知れないまーちゃんこと、

まさみのほうが安心できるくらいだ。

でも信じる人をどうして否定できるだろう。

こちらも実はあやういのだ。

信じるものがある人も、信じるものがない人も

実はどちらもあやういのだとわかって、

普段意識しない自分の内面のことを探ってしまう。

そんな小説だ。

 

両親から離れた方がいい、高校へはこっちから通えばいい

ちひろを説得する叔父夫婦に、ちひろは、

「わたし・・・、わたしは、・・・このままでいい」

 (中略)

「わかってるよ。でもわたし、まーちゃんみたいに

家出したいと思ったことないんだ」

 (中略)

「心配なんかしないで。しんちゃん

(註:従兄弟のこと)、わたし大丈夫だよ。

誰にも迷惑かけないし、お金のことだって

自分でなんとかできると思う(後略)」

(「星の子」より)

こんなふうに答えるのだ。

 

家族三人で流れ星を眺めるラストシーンには、

絆の強さとあやうさの両方を感じた。