もりっちゃんのゆるブログ

楽しく、でも真面目に。 そんなブログを書いています。

「月と蟹」を読みました

久しぶりの雨。☔

今日はインフルエンザの予防接種をしに行きました。

雨が上がると少しずつ寒くなるそうなので、そろそろ秋から

冬へ移っていきそうですね。

心地よい季節はほんとわずかですね~

 

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「月と蟹」(道尾秀介 著)を読みました。

道尾氏の作品は「向日葵の咲かない夏」に続き2作めです。

「向日葵~」のほうはいろんな意味で異色な作品だったので、

別の作品も読んでみようと思いました。

「向日葵~」は2005年の作品、「月と蟹」は2010年で、

この作品で直木賞を受賞しました。

 

舞台は鎌倉近くの海辺の町。

主人公の利根慎一(とねしんいち)は小学5年生で、

祖父の昭一、母の純江と3人で暮らしている。

父が2年前に癌で亡くなったのを機に、一人暮らしだった

昭一と同居することになったのだ。

転校生の慎一は同級生となじめず、関西からの転校生、

富永春也(とみながはるや)が唯一といっていい友達だった。

 

彼らは山の中に秘密の場所を作り、ふたりだけでまるで犠牲式の

ような遊びをするようになる。

無邪気な秘密基地というよりは二人だけの神聖な場所なのだ。

 

慎一の友達 春也が、教室で慎一に話しかける場面。

「お前、休み時間に俺んとこなんて来いひんやん、いつも」

(「月と蟹」“第一章”より

春也は関西から転校してきたとしか、最初説明はないのだが、

きっと春也は京都から来たのだろうと私は思った。

「来ない」ということを、

関西では「来(け)えへん」「来(き)いひん」「来(こ)うへん」

の3パターンの言い方をする。

「けえへん」は大阪(河内)

「きいひん」は京都、

「こうへん」は神戸

とだいたい分かれると思っているのだが、

だんだん混じってきてこの頃は地域性はなくなってきているようだ。

春也は「きいひん」と言っているので、たぶん京都では

と当たりを付けたのでした。

読み進むと、春也が八坂神社のお祭りの話をする場面があり、

やっぱりと思いました。

 

作者の道尾氏の出身は兵庫県芦屋市でした。

なるほどです。

春也の話す関西弁はなんともまろやかで親近感を持ちました。

 

子どもが自分たちだけの秘密を持つ話は多い。

映画「スタンド バイ ミー」のような冒険をしたり。

でも「月と蟹」では明るく楽しい冒険ではなく、

暗く哀しく脆い「禁じられた遊び」が綴られている。

「月と蟹」というタイトルは物語のクライマックスシーンを

表していると思われる。

“終章で” 慎一の友達ふたりが同じようで同じでないことを

慎一に告げる。

葉山鳴海(はやまなるみ)(慎一と春也の仲間に後で加わった女子)は

「大人になるのって、ほんと難しいよ」と。

春也は

「大人も弱いもんやな」と。

 

ほんまや、大人もたいしたことない。

だからみんな強く生きていってほしいと強く思いました。