もりっちゃんのゆるブログ

楽しく、でも真面目に。 そんなブログを書いています。

「ギリシャ棺の秘密」を読みました

木々の紅葉も少しずつ進んできました。

ハナミズキは赤い実を付けています。

特に紅葉狩りの予定はありませんが、近所の公園でもじゅうぶん

楽しめます(^^)/

 

ギリシャ棺の秘密 (角川文庫)

ギリシャ棺の秘密」(エラリー・クイーン 著/越前敏弥・北田絵里子 訳)

を読みました。

エラリー・クイーンの国名シリーズ、4作目です。

表紙のエラリーが持っている長い棒は何でしょう?

昔の先生が持っていた竹刀に見えて、怖い・・・

 

国際的に著名な美術商で美術蒐集家、画廊も経営する大富豪の

オルグ・ハルキス氏が自宅の書斎で心臓麻痺のため

亡くなったところから始まる。

ハルキス氏は3年前に病気の後遺症で失明していた。

ハルキス邸は教会の隣にあり、その地下墓地に棺のまま葬られた。

その後、ハルキス氏の遺言状が金庫ごと行方不明になっていることが

わかる。

NY市警が出張って館中を捜索するが、見つからない。

墓地の棺の中を確かめろというエラリーの助言で、棺を

開けてみると、ハルキス氏の亡骸の上に新たな死体が重なって

いたのだった。しかも、金庫も遺言状も見つからなかった・・・

 

例によって、ハルキスの館には、家族や親せき、医師、

秘書、仕事関係者が同居しており、その他にも山のように

怪しい人物が登場する。

しかし、私は発見した!

表紙をめくった折り返しの部分にある登場人物表には、

スペース上、14~15名しか載らない。

被害者を除く。

警視のリチャード・クイーンと息子のエラリー・クイーン

刑事や検事を除くと、大体10名程度になるのだ。

これなら結構絞れそうだ。(10分の1なのだけどね(笑))

しかし、この発見は甘かった・・・

 

3分の1あたりで、まずエラリーが推理を披露する。

その時点で明かされていることで判断するなら完璧だったが、

その後新しい事実が次々と明らかになる。

3分の2あたりで、市警は(クイーン警視は)別の犯人を

特定するが、その犯人と目された人物は自殺してしまう。

事件はいったん、犯人自殺で解決したかに見える。

ところがまた新たな事実が出てきて、自殺したと思われた犯人は

殺されたことがわかる。

つまり犯人ではなかったのだ。

このあと恒例の「読者への挑戦状」がある。

そしてエラリーは二度目の推理を展開し、犯人を名指し、

逮捕される。

しかしこれはエラリーの真犯人へのひっかけで、

最後の最後でやっと真犯人が明らかになる。

 

これはいわゆる“後出しじゃんけん”の連続ではないか。

なんどもブレーキをかけるバスに乗っているみたいで、

ちょっと気分が悪い。

順調に推理が進んでいても、また新しい事実が出てくるのでは

と思ってしまう。

これがさらに進むと、作者によるミスリードがなされ、

最後にどんでん返しという叙述トリックになってしまうのだ。

まあ、ミステリーは作者と読者の騙し合いの面もあるので、

仕方ないのですが。

 

この“もやもや問題”は、“後期クイーン問題”として論議

なりました。

パズル作品のようなきれいで論理的なミステリーを

読み続けていると、ちょっとずっこいやんと思ってしまうのです。(笑)

叙述トリックのミステリーも好きなんですがね。

 

ギリシャ棺”のタイトルですが、

病死したハルキス氏がギリシャに先祖を持つアメリカ人

という設定から来ているようです。