もりっちゃんのゆるブログ

楽しく、でも真面目に。 そんなブログを書いています。

擬態と寄生

近畿地方からは遠くを通りますが、台風16号が近づいています。

明日からは北風が強くなるので、気をつけないと。

今回はベランダ(のもの)避難はしないつもり。

ただ油断せず気をつけたいと思います(^^)/

 

 

“「完訳 ファーブル昆虫記 第3巻上」を読みました” の記事の続きです。

 

「擬態」というと何を思い浮かべますか?

私は木の葉に似せた昆虫や、カレイの表側が黒っぽく裏側が白いこと

を思いました。

「完訳 ファーブル昆虫記 第3巻上」の訳注に少し説明が

ありました。

完訳 ファーブル昆虫記 第3巻 上

擬態とは

擬態者が他の生物や物体に姿を似せ、自分の存在を

有利に導く形態をとること

(「完訳 ファーブル昆虫記 第3巻上」

     “5章 寄生者と狩人 訳注” より)

だそうです。

 

いくつか種類があり、

・無毒の者が有毒の者の姿を真似るパターン。

自分には毒があると見せて捕食されないようにする。

このパターンが増えると、有毒の者の価値が薄れ、

結局擬態する意味もなくなるので、擬態するものと

されるものの比率は決まっているようだ。

・次に、有毒の者が警告的な容姿をするパターン。

ハチの黄色と黒の縞模様が体表的なもの。

・また、無害な者の姿に化けて相手を安心させ攻撃するパターン

もある。

・最後は、棲息環境に溶け込むような姿や体色をとるパターン。

私が最初に思い浮かべたパターンだ。

シャクトリムシが小枝に似せたり、田んぼにいるヒバリが

地味な茶色をしているのがそう。

保護色と言い方もしますね。

 

ただ環境に溶け込んで目立たなくしていると、捕食されずにすみますが

逆に困ったことにもなるのです。

生物にとっては、生き延びること以上に繁殖することが大切で、

そのために同種間では、雄は雌を、雌は雄を探す工夫をしている。

そのための競争が性選択(性淘汰)と呼ばれるもので、

クジャクの雄の尾羽のような極端な例も生じることになる。

(「完訳 ファーブル昆虫記 第3巻上」

     “5章 寄生者と狩人 訳注”より)

冬に大きな池や川に行くと、たくさんカモが渡ってきています。

この群れの中でじみーな茶色っぽいのは全部メスです。

対してオスはそれぞれの種できれいな模様があります。

冬の間に繁殖の相手を見つけるために、オスはきれいな羽色になるのです。

メスは夏に卵を孵し子育てをしないといけないので、敵から目立たないように

じみーになっています。

 

どうして目立たないのか、どうして目立っているのか、

どちらにも理由があるということなのですね。

 

今回、ハチに寄生する昆虫をいくつか紹介しましたが、

ファーブルさんは寄生される側のハチの運命をずいぶん嘆いて

います。

こうした陰鬱な記述(註:寄生の仕組み)のあとでは、

私は暗い考えにとらわれてしまう。すなわち、ある者の幸福は、

他の者の悲惨さを土台としているのだ、と。

(「完訳 ファーブル昆虫記 第3巻上」

     “7章 ヌリハナバチと寄生者”より)

モンシロチョウにも、卵に寄生するハチ、幼虫に寄生するハチ、

蛹に寄生するハチがそれぞれいます。

難を逃れて無事チョウになるのは奇跡とさえ思うくらいです。

 

しかしこの天敵としての小型の寄生バチの存在は、

寄生される昆虫にとっては、結果的に、じつにありがたいこと

なのだ。というのは、もし天敵がいなければ、昆虫は繁殖力が

強いために殖えすぎて、食樹、食草、食料を食べ尽くし、

たちまち自滅してしまうからである。

(「完訳 ファーブル昆虫記 第3巻上」

     “10章 オナガコバチ 訳注”より)

なるほどです。

 

さて、ファーブルさんはハチの巣を調べて、羽化する成虫の性差を

調べています。

何と平均してオス1頭に対してメス6頭という比率だそうです。

ハチのメスは交尾をすると雌バチの卵を産み、

交尾をしないと雄バチの卵を産みます。

うーん、このバランスは何なんだろ。

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  (無料イラストより) ※これはミツバチです