久しぶりの雨で少し気温が下がりました。
エアコンなしで大丈夫。
でも蒸し暑い!
奥泉氏の作品は「死神の棋譜」に続いて2作目です。
「読書」のカテゴリーを今は主にアップしていますが、
記事を書くときは他の人のレビューを全く検索していません。
全く自分本位に書いています。
ネタバレが気になるときは、図書館のサイトであらすじを参考に
したりはしました。
でも、この作品はさすがに評価が難しく、初めてレビューを
検索しました。
といってもアマゾンのレビューだけですが(笑)
読み始めは、主人公の告白小説かと思いました。
「私」はかつてピアニストを目指し浪人までして音大に入学したが、
中退し、医大へ再入学、医者となっている。
その「私」が医大在学中に、友人の鹿内堅一郎からもらった
手紙ーから小説は始まるのだ。
あの「永嶺まさと」がドイツのツヴィッカウの小さなホールで
ピアノを弾いていたという。
永嶺まさと(ふたり(「私」と鹿内)の間では永嶺修人)は
ふたりの共通の友人(高校の後輩)で、10代で既に有名な
ピアニストだった。
しかし、「事故」で右手の中指を失い、高校の卒業を
待たずにアメリカに渡ったはずだった・・・
指を失った修人がどうやってピアノを弾けるようになったのか。
指を失った「事故」とは何か。
「私」はなぜ音大を辞め、医者になったのか。
そんな謎解きを求めて読み続けました。
ミステリーとしてなら、ラストにガラガラガッシャンと
すべてが崩れる崩壊感(なんのこっちゃ)を味わえます。
でもいまいちスッキリしません。
小説内で多くの部分を占めるのが、シューマンの音楽についての
描写です。
私のシューマンについての知識は浅く、
ドイツ・ロマン派の作曲家であること。
「子どもの情景」というピアノ曲集の中の
「トロイメライ」が有名なこと、くらいです。(^^ゞ
小説内に登場するシューマンの曲の中でも、
永嶺修人が弾いたという次の3曲。
・幻想曲ハ長調 Op.17
・ピアノソナタ第3番ヘ短調<管弦楽のない協奏曲> Op.14
・天使の主題による変奏曲
この3曲を、作品の読了後にYou Tubeで試聴してみましたが、
やはり知らない曲でした。(シューマンファンのかた、すみません💦)
音楽を言葉で表現するー
これを作者は試みたかったのではと思います。
もうひとつは、音楽家に限らず、ひとつのことを追い求める人間が
見てしまった「魔」の世界を描きたかったのではないか
ということ。
これは前に読んだ「死神の棋譜」とも通じています。
ミステリーと決めつけず、シューマンの解説書でもない、
あくまでも人間の闇を描いた作品だとすれば、
こういう小説もじゅうぶんありかなと思います。