もりっちゃんのゆるブログ

楽しく、でも真面目に。 そんなブログを書いています。

「ローマ人の物語 Ⅱ」を読みました

今日はこたつ布団を片付けたり、冬物の服をしまったり

しました。

自転車で用足しにも行きましたが、少し人出が減ったように

思いました。事態がいい方向に向くといいなと思いました。

2週間以上、自宅とスーパー、近所の図書館分室しか出かけて

なかったので、少しですが気分転換にもなりました。 

 

ハンニバル戦記──ローマ人の物語[電子版]II

ローマ人の物語ハンニバル戦記」(塩野七生 著)を読みました。

シリーズ「ローマ人の物語」の第2巻です。

この巻は、共和制ローマフェニキア人の植民市カルタゴとの

闘争、ポエニ戦役を主に綴った約380ページです。

長かった~

何でローマとカルタゴの戦争をポエニ戦争と言うんだっけ?

と、まずここから。

ポエニはラテン語で「フェニキア人」のこと。

ローマ人がフェニキア人のことをポエニと呼んだのでした。

 

第1次ポエニ戦役(B.C. 264~241)

現イタリアの長靴の先にある島シチリア島をめぐって、

①ティチーノ②トレッビア③トランジメーノ④カンネ

とイタリア内で会戦を行い、ローマはカルタゴに完敗。

カルタゴの名将ハンニバルがスペインからアルプス山脈を越えて

イタリア内に入る様は特に印象に残りました。

 

第2次ポエニ戦役(B.C. 218~201)

⑤ベクラ⑥メタウロ⑦イリパ⑧ザマ

若きローマの司令官スキピオの登場で、ローマはカルタゴに勝利。

スキピオピノキオと名前が似ていて覚えています(^^ゞ

(その程度の記憶(笑))

ちなみに表紙の顔が指輪に彫られたスキピオです。

 

第3次ポエニ戦役(B.C. 149~146)

カルタゴが滅亡し、ローマは地中海世界覇権国家となった。

 

世界史の教科書ではだいたい5行程度に要約されるこの戦争。

こんなに詳しく知ったのは初めてでした。

この巻もおもしろかったです。

 

作者の塩野氏は、ローマの歴史や物語ではなくローマ人の所行を

書きたかったと言われています。

この連作の通し表題を、私は『ローマ人の物語』とした。だが、

日本語の表題のラテン語訳には、歴史とか物語とかをダイレクトに

意味する、ヒストリアもメモリアも使いたくなかった。

所詮は同じ意味ではあるのだが、ジェスタエという言葉を使った。

RES GESTAE POPULI ROMANI「レス・ジェスタエ・ポプリ・ロマーニ」

とは、直訳すれば、「ローマ人の諸々の所行」である。

いかなる思想でもいかなる倫理道徳でも裁くことなしに、

無常であることを宿命づけられた人間の所行を追っていきたいのだ。

ローマ人の物語Ⅱ」“読者へ”より

 

ローマ人の面白いところは、何でも自分たちでやろうとしなかった

ところであり、どの分野でも自分たちがナンバー・ワンでなければならない

とは考えないところであった。

ローマ人の物語Ⅱ」“第一次ポエニ戦役後”より

 土木事業はエトルリア人に、通商はギリシア人に、とそれぞれ

得意な分野をまかせる統治をしたのでした。

 

ローマ人は、今の言葉でいう「インフラ整備」の重要さに注目した、

最初の民族ではなかったかと思う。

インフラストラクチャーの整備が生産性の向上につながることは、

現代人ならば知っている。そして、生産性の向上が、生活水準の

向上につながっていくことも。

ローマ人の物語Ⅱ」“第一次ポエニ戦役後”より

ローマが敷設した街道は現代の高速道路網のようで、今もイタリアの

街に残っている。

 

高齢者だから、頑固なのではない。並の人ならば肉体の衰えが精神の

動脈硬化現象につながるかもしれないが、優れた業績あげた高齢者に

あらわれる、頑固さはちがう。それは優れた業績をあげたことによって

彼らが成功者になったことによる。年齢が、頑固にするのではない。

成功が、頑固にする。

ローマ人の物語Ⅱ」“第二次ポエニ戦役終期”より

「年寄りは頑固や」と親を見て思っていた。

そのうち自分も年寄りに近づいてきた。

精神の動脈硬化を起こさないようにしなくては。 

 

優れたリーダーとは、優秀な才能によって人々を率いていくだけの

人間ではない。率いられていく人々に、自分たちがいなくては、

と思わせることに成功した人でもある。持続する人間関係は、必ず

相互関係である。一方的関係では、持続は望めない。

ローマ人の物語Ⅱ」“第二次ポエニ戦役終期”より

これもなかなか深いです。

名将だったハンニバルも年をとってだんだん気弱になる。

ハンニバルに長年ついてきた部下が「自分たちが支えなければ」

と思うのです。

 

(略)この穏やかな帝国主義路線にも、弱点はある。

「パトローネス」(註:保護するもの)と「クリエンテス」

(註:保護されるもの)の双方ともが、同じ視点に立たなければ

成り立たなくなるという弱点である。つまり次のようになると

成り立たない。

パトローネスは言う。政治的外交的軍事的自由は制限される

だろうが、秩序と安全は保証する。

クリエンテスは反論する。自由か、しからずんば、死か。

人類は、スキピオの時代から二千二百年も過ぎていながら、

いまだにこの両者の考えの正否に結論が出せないでいる。

ローマ人の物語Ⅱ」“ポエニ戦役その後”より

長い引用になりました。<(_ _)>

これは世界史の永遠の命題であるのでしょう。

現在も続く内戦やクーデターや違法統治がそれをあらわしていると

思います。