もりっちゃんのゆるブログ

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「菌根の世界 菌と植物のきってもきれない関係」を読みました

今日はひとりでハイキングに行きました。

久しぶりに10㎞以上歩いたので足やら肩やら痛くて・・・

情けないことです(T_T)

その報告は次回に。

 

菌根の世界: 菌と植物のきってもきれない関係

「菌根の世界」(斎藤雅典 編著)を読み終えました。

 

いや~大変でした。足かけ2ヶ月くらいかかりました。

(私のあとに予約がなかったので何度も延長して)

毎日新聞の書評欄「今週の本棚」で紹介されたのが昨年の10月24日。

予約して結構早く回ってきたのに、読むのが大変でした。

書評は詩人の渡邊十絲子さんで、だいたいの内容はわかったつもり

だったのですが・・・

 

まず菌根とはなんぞや?

菌類いわゆるカビの仲間が植物の根に共生している現象を指す

 (「菌根の世界」はじめに より)

 一番わかりやすい例はマツタケです。

マツタケはマツの根に共生するマツタケ菌から生じる子実体(いわゆる

キノコ)。マツタケ菌はマツの根に共生する菌根菌というわけです。

菌といっても細菌とは全然べつものです。(※系統図を最後に)

 

キノコにはとても興味があって、キノコの展示も以前見に行きました。

記事はこちら ↓

きのこ展へ - もりっちゃんのゆるブログ

 

でも子実体(キノコ)を生やす菌根菌は一部で、実際は

土の下、木の中なんかに隠れているので普段目で見ることは

ありません。

見えないけれど、菌根菌と共生している植物はとても多くて

(陸上植物の約8割)、

農業や林業、環境問題などと密接に関係してとても大事なものだと

わかりました。

 

東日本大震災で東北の松林が津波で被害を受けました。

その再生にも関わっています。

海岸はただでさえ生育環境がシビアです。

塩分、強風、浸食・・・

根を張っても養分が十分に摂れません。

根の中に共生している菌根菌が養分(リンやカリウム)を

植物に供給し、そのかわり植物から菌根菌に炭素(糖として)が

送られる。という関係です。

海岸に松を植樹するとき、ただ植えただけでは成長しない。

マツに合った菌根菌がいないからです。

近くの里山から(菌根菌がいる)土を持ってきてそこに植える。

そんな挑戦が行われています。

 

あとがきに小川真氏が書かれていた文章が心に残ったので、

最後に引用します。

生命体がある一定の環境下で、そのつど進化してきたのと同様、

共生もある条件下で成立し、環境の変動に耐えられたものが

現在まで続いていると考えられている。

したがって、大きな気候変動や汚染に見舞われれば、絶滅危惧種

になりやすく、容易に消えてしまうのも当然かもしれない。

共生は一般に言われるほど理想的な生き方ではない。場合によっては、

共生イコール共倒れということになりかねないのである。

(中略)

新型コロナウイルスが収束してくれたら、もう一度外へ出て、

素直に自然のあり方を観察してみよう。自然は常に遠大な存在で

あり、偉大な師でもある。 (2020.5)

 

難しい本でしたが、読んでよかったと思いました。

外を歩いていても木の根元に目をやるようになりました。

もちろん何も見えないのだけど。

 

※生物の系統図

原核生物古細菌

     ー細菌

・真核生物ー原生生物

     ー緑藻・紅藻

     ーミドリムシ

     ー植物界

     ー動物界

     ー菌類

 (「菌類の世界」より)