もりっちゃんのゆるブログ

楽しく、でも真面目に。 そんなブログを書いています。

「悲願花」を読みました

朝晩はだいぶ寒くなりました。

日中は日なたなら暖かいですが、日がかげると寒さを感じます。

今週はこんな感じが続きそうですが、来週は一段強い寒波が

来るそうです。

気をつけましょう(^^)/

 

悲願花

 「悲願花(ひがんばな)」(下村敦史 著)を読みました。

 下村氏の著作、「黙過」に続いて2冊目、2018年発行の書き下ろし

作品です。

 

タイトルの「悲願花」は表紙イラストのとおり、彼岸花を指して

います。

彼岸花は別名がたくさんあり、作中にも、

曼殊沙華、毒花、地獄花、幽霊花、痺れ花、捨て子花、

などの例が挙げられている。

毒があることや、花のあとから葉が出てくることから、

縁起が悪いと思われているのだが、私はけっこう好きな花だ。

 

一家心中で両親と幼い弟妹を失い、施設で育った幸子。

なかなか行けなかった家族の墓参りのため墓地を訪れる。

片隅には、黄泉へ誘(いざな)うかのように彼岸花が咲き

誇っていた。雑草地で何本も寄り添って生えているため、

まるで緑の草が血に染まっているようだった。

  (「悲願花」より)

お参りを終えて帰ろうとしたとき、幸子は墓石の前で手を合わせる

女性に目をとめる。その女性がまるで現世に未練を残す幽霊の

ようだと思うのだった。

 

幸子にも、墓地で出会った女性にも叶えたい「悲願」があった。

その悲願は叶うのか。

ラストは希望を持てて、明るい未来も感じさせます。