また雨です。そして寒いです。
何だか着る服に困ります。(+_+)
「怒り」(上)(下)(吉田修一 著)を読みました。
吉田氏の著書3作目です。
こちらも新聞の連載小説。
読売新聞2012年10月~2013年10月まで連載されたものが、
2014年に上下巻で刊行されました。
「悪人」に続きネガティブなタイトルなので、おそらく犯罪小説なのだろうと
思って読み始めました。
「怒り」に満ち満ちた犯罪小説ではなかったです。
冒頭に1件の犯罪(殺人)場面が描かれ、それはずいぶん凄惨なんですが、
その後は3つの地域に暮らす別々の家族の日常が紹介され、
ところどころに冒頭の事件を追う刑事たちの様子が挟み込まれます。
1つめの家族は、房総の漁港に暮らす、槙(まき)洋平・愛子の親子。
洋平は漁協で、愛子は朝市で働いています。
2つめの家族は、東京に暮らすゲイの藤田優馬。
大手通信系企業で働いている。
3つめの家族は、福岡から沖縄の離島へ引っ越してきた小宮山真由・泉親子。
真由はペンションで働き、泉は高校生。
これらの3つの家族の前にそれぞれ前歴不詳の男が現れ、
家族の運命ががらっと変わっていく・・・
冒頭の事件とどう関わっているのか、が読みどころ。
「怒り」が何を表しているのかは、ネタバレにもなるのでここには
書きません。
喜怒哀楽の感情の中でも、「怒」は一番強い感情でしょう。
だからエネルギーが必要。そうそういつも怒ってもいられない。
私たちは「怒り」を鎮ませて何とか日々を送っている。
外からは「怒り」の感情をよみとることはできなくても、
その人の内には、静かに燃える「怒り」があるかもしれない。
でもなあ、できれば怒らず過ごしたいなあ。
そのほうがやっぱり幸せだと思うなあ。