もりっちゃんのゆるブログ

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「東京會舘とわたし」上・下 読みました

 しばらく涼しい日が続きました。ほっとできました。

また今日から暑くなりそうですが、少しずつ秋の気配も

感じます。

もうちょっとの辛抱ですね。

 

辻村深月著「東京會舘とわたし 上 旧館」、

東京會舘とわたし 下 新館」を読みました。

東京會舘とわたし(上)旧館

東京會舘とわたし(下)新館

上下巻共に今月文庫化され、本屋で見かけたので

図書館で予約しました。

既に次の予約が付き、期限内に読めるか心配でしたが全く大丈夫(^^)v

読みやすくおもしろかったです。

 

東京丸の内、皇居二重橋前にある東京會舘

この物語の主人公はこの建物です。

大正11年に民間の力のみでできた国際社交場。

この東京會舘に関わった人々のエピソードを上下巻10のお話で

つなげています。

第一章が大正12年(1923年)、第十章が平成27年(2015年)

と、92年の年月が流れるため、

10のお話の登場人物は変わっていきます。

でも、チェーンのようにつながっているのです。

 

たとえば、

“第一章 クライスラーの音楽会 大正十二年(1923年)五月四日”

では、東京で小説家を志しながら挫折し故郷に帰った寺井承平が

帝国劇場で開催されたヴァイオリニスト、フリッツ・クライスラー

音楽会を聴きに金沢からやってくる。

その寺井に応対した東京會舘のボーイの佐山(第一章では

名前はわからない)が、

“第二章 最後のお客様 昭和十五年(1940年)十一月三十日”

で、主役を務める。

クライスラーの音楽会を聴いた寺井のその後は、第三章で

明らかになる。

 

92年間に戦争、二度の大震災(関東大震災東日本大震災)、

建て替え(上下巻が旧館、新館となっているのはそのため)、

名称の変更などがあり、長い歴史がうかがえる。

私は東京は不案内で、東京會舘がどこにあるのか地図で探した

くらいだから、東京會舘に思い入れはない。

でも登場人物が東京會舘を家族や恋人のように愛する気持ちは

わかるような気がした。

きっと当時も今も東京會舘に特別な思いを抱いている人は

実際たくさんいるのだろうな。

 

東京會舘は、このお話の第十章の後、平成27年2月から

再び建て替えられ、平成31年1月(そう今年)オープンした。

新しい顔になっても、変わらない落ち着きと安心感で

人々を迎えているのだろう。