もりっちゃんのゆるブログ

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儚い羊たちの祝宴 読了

久しぶりの晴天。運動会なのか賑やかな声が聞こえてきます。

 

儚い羊たちの祝宴 (新潮文庫)

「満願」に続いて米澤穂信氏の「儚い羊たちの祝宴」を

息子に借りて読みました。

  • 身内に不幸がありまして
  • 北の館の罪人
  • 山荘秘聞
  • 玉野五十鈴の誉れ
  • 儚い羊たちの晩餐

以上5編からなる短編集です。

どれも読書家の米澤氏らしく、古今東西の文芸作品を

下敷きにしていて、それがわかるとより楽しめるように

なっている。

私には作家は知っていても作品は知らないものが多く、

残念だったが、下敷きがわからなくても話自体はもちろん

楽しめる。

 

文庫の帯には

「味わえ 絶対零度の恐怖を」

「ラストの1行で世界が反転」

「新世代ミステリの旗手が放つ衝撃の暗黒連作」

とある。

絶対零度かどうかはわからないが、ひやり、ざらりとする

嫌な怖さが残る作品が集まっている。

大きなお屋敷に住むお嬢さま、それに仕える使用人ら、

上流階級を対象にした読書サークル「バベルの会」、

この2つが5編に共通するが、話はそれぞれで完結している。

ラスト1行はどれもインパクトがあるが、

途中からラストは予想されそれほどの衝撃はない。

ただ、最後の「儚い羊たちの晩餐」だけは、もやもやが

残った。

お嬢さま大寺鞠絵はどうなったの?

鞠絵の日記を読んだ女学生は誰?

息子に聞いても、キーワードの「アミルスタン羊」同様、

下敷きの作品を読まないとわからないとのこと。

(スタンリィ・エリン「特別料理」)

うーん、残念・・・

 

ラスト1行で大どんでん返しになる作品について

息子と話し合ったら、

息子は「容疑者Xの献身」(東野圭吾著)と言い、

私は「イニシエーションラブ」(乾くるみ著)を挙げた。

「容疑者X~」はラスト1行というわけではないが、

意外な結末という意味では優れた作品だと思う。

「イニシエーションラブ」は初読で「えっ、何? どういうこと?」

と騙され、再読したが未だどこで騙されているのかよくわからない。

 

さて、次はまたまた米澤氏の「ボトルネック」を読む予定。

明日からまた雨の予報だが、災害のない雨ならよしとしないとと

思ってしまう。

石切さんの参道で入った食堂のおばちゃんと話した

「今年で災難は出し尽くしてしもて、来年はいい年にしたいな」

という言葉を思い出した。