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私は文系!?

家庭の科学 (新潮文庫)

家庭の科学 (新潮文庫)

だいたいどこの家にもある、怖〜い病気が載っている「家庭の医学」じゃないよ。
原題は「The Undercover Scientist」。これを「家庭の科学」というタイトルにした
訳者の三枝(みえだ)さんにまずは感服。


本の紹介の前に、息子の話から始める。
息子は高2に上がるとき、文理選択で文系を選んだ。
この選択に、親である旦那さんと私はものすごく驚いた。「ええんやな?ええんやな?」と何度も本人に確かめた。
数学や物理が得意で、成績も理系の科目の方がよかったので、理系に進むと私たちは思い込んでいたのだ。
「何で?理系キライなん?」と聞くと、
「キライやないけど、おもろない」

アホちゃう?何でわざわざしんどい道に・・・

私は密かに高3で「理転」(理系に転向すること)するのでは、と疑い、
旦那さんは、理系の自分を否定されたとかなり長い間落ち込んでいた(笑)

その後高3になっても、息子は理転することもなく、そのまま大学も文系の学部に進んだ。

さて、そんな息子なのだが、
私は息子が中学のころから、「理系の疑問」について彼をとても頼りにしていた。
「そんなこともわからんのか。小学生でも知ってるで」と毎回馬鹿にされながら、
月の満ち欠けの仕組みなんかをよく説明してもらった。
私は、中学までは結構理系の科目が好きだったが、高校で全くついていけなくなってしまい、迷わず文系に進んだのだ。
未だに、世の中の常識と言われるような科学の仕組みがわからないままである自分を、
恥ずかしく思う・・・

でも、やっぱりわからん。
何で電子レンジで物があたたまるのか?
何で油から出来ている石鹸で油が落ちるのか?
何で瓶の口に入れた指が抜けなくなるのか?

こんな日常の科学の疑問に、わかりやすく、おもしろく答えてくれているのが
初めに紹介した「家庭の科学」。

紅茶を飲もうと思って、表面がなめらかで光沢のあるカップに、ミネラルウォーターを入れて、
電子レンジで加熱する。
取り出すとちっとも沸騰していない。
おかしいなと思いながらも、紅茶のティーバッグを入れた瞬間、爆発が起こる。
「突沸」という現象だ。
液体が沸騰することなく通常の沸点を超える温度まで加熱されたときに起こる。
何で、水が沸騰せずに沸点を超えるのか、何でぇ〜?
ほんで、何で、爆発するん?
こんな話から入って、
チェルノブイリの話になり、圧力鍋の話になり、登山家の話になり、ダイバーの話になる。

理系の人も文系の人も、科学が苦手な人も好きな人も
きっと読んだら夢中になれる。何度も笑える。
科学が発展して、とまどったり困ったりすることもあるけれど、
科学は人間を幸福にするものだという、作者の信念をも感じられる本。